[短編小説]部活後の青春
「はあ、はあっ…」 疲れた…。 野村奈美、中2。陸上部に所属している。 こんなに疲れてるのに…。 「きゃぁぁ、大谷くん今日もかっこいい~!」 陸上部の女子が、黄色い声を上げている。余計に疲れる…。 陸上部に所属している、大谷順くん。 同クラだけど、全然話したことは無い。 大谷くんは、額の汗を拭いながら走っている。 ───私も、大谷くんのことをかっこいいと思ってる。イケメンで、優しいくてクールだから女子の人気の的。 よしっ…、今日こそ…! 「あのっ、大谷くん、水…」 私は水を差し出した。 「自分のあるから」 そう言い、スタスタ行ってしまった。 初めてこんなに勇気出して渡そうとしたのに…! クールな大谷くん、人と話すのが苦手。 こんな大谷くんだから、仲良くなるのは難しいかも…。 次の日。 私はまた、水を渡すのを試みた。 結果は──── 「いらね。お前もすげー汗かいてるからお前が飲めば。脱水になるぞ」 受け取ってくれなかったけど、私のことを心配してくれた。 …こーゆーところが優しいんだよね。 好きって言う気持ち、もう止まらないよ。 また次の日、学校に行くと── 靴箱に、真っ白なタオルと紙が入っていた。 紙には── 『部活で使えよ。あと、水分取れよ!』 この2文が書いてあった。 …てか、なんで靴箱知ってんの…笑 今日はそのタオルとあの文を思い出して、集中できなかった。 大谷くんのことを意識しすぎたせいか、顔を合わせたら、私の顔が赤くなったことが自分でもわかった。 「あのさ、た、タオルありがと…」 「あー」 「…汗かいてるでしょ…?水飲んで…」 私はペットボトルを渡した。 上手く話せなかった。 「お前も、水飲めよ。あ、そうだ」 それちょうだい、と言うように、私の手から水を取った。 それから──── 水をごくごく飲んだ。 「ぷはぁっ」 よっぽど美味しかったのか、笑顔になっていた。 こんな風に、笑顔になっているところ初めて見た。 「お前も飲めよ」 「…えっ!?」 「うめーよ。超冷めてー」 「あの、これ、大谷くんの口付け…」 「いーから。飲まなきゃ俺が無理矢理するぞ」 「あの、えーと…」 私はオロオロした。 すると─── 私の口に無理矢理ペットボトルをつけた。つまり、飲まさせられた。 あの、これ、あーんの飲み物版なのでは…。 「ぷはっ」 「キンッキンでうめーだろ」 「うん…。てか、今、間接キs」 「い、言わなくていーから」 顔、真っ赤…。 しばらく沈黙。 「なんだろう、さっきしたのにね…」 2人のシルエットが並ぶ。 私をぐいっと引っ張って、顎クイ。 私たちは、キスをした。 「間接キスもキスも、俺がしたかっただけだから」 あとから知ったけど、大谷くんは恋するとタイプ変わるらしい笑 私たちはそれ以降、みんなに羨ましがられるくらいのラブラブカップルにになった。