短編小説みんなの答え:5

白が生み出す色彩は

 お父さんは、お父さんが好きな画家の構図を真似して描くと喜んだ。  お母さんは、お母さんが好きな画家の色を真似して描くと喜んだ。  両親は、私が絵を描くと喜んだ。  昔の私は…両親の期待に応えられたら嬉しかった。  じゃあ、今の私は? 「ふう…」  深く冷たい海の青の色ような気持ちを吐き出すと、そっと白いキャンバスを撫でる。  ざらりとした、無気質な感触。色で表すと、寒色寄りのグレー…?  今の気持ちの色を作り出しさっと筆でキャンバスを撫でるようにして描く。 「駄目だ」  ぽそりと呟くと、キャンバスを白で塗り潰す。白の下には、分かりきった結末が描かれていた。  それは、いつか両親に教わった冷たい色をよく使う画家のタッチで、色で。  自分の心の色を表したと思っても、どこかで自分の色じゃなくなってしまう。  それは私の癖のようなものだ。絵を描いていると両親のことを思い出し、両親から教わった画家と似たような色を作り出し、筆に乗せてしまう。  今日もまた失敗、と毎日言い、絵を背にする。私は逃げてばかりだ。親からも、絵からも…現実さえも。  手探りでドアノブを掴み、絵描きの匂いから逃げる。  昔、自分の絵が描けないという事実に気づき絶望し、絵描きの匂いを嫌った。  唯一の伝手である叔母の家に駆け込み、しばらく絵というものを拒絶し続けた。    *   私は白を好んだ。色彩を感じると、頭のどこかで画家を思い浮かべてしまう。何もない、白の方が気楽でいい。 「…ましろちゃん」  そっと扉をきしませながら入ってくるのは叔母だ。 「絵は…描けるようになった?」 「…駄目。全然無理。自分の絵じゃなくなっちゃう…」 「そっか…」  叔母は、様々な色彩を持っていた。  嬉しがる時に感じる暖かみを持った橙色。  残念がる時に感じる淡いグレー。  活力が有り余っている時に感じる明るい小豆色。  コロコロと変わるそれは、私を刺激した。 「ましろちゃんは、どうして描けないの?」  純粋な白い疑問の色。眩しいほどに白い。  すっと目を細め、小さく呟く。 「真似をしているうちに…自分の絵を見失って。絵が好きだけど、他の人の絵になってしまう、から…辛い」  口から漏れ出たのは、孤独の色だった。 「白は好きだけど…白は何も生み出せないから」  諦めにも似たそれは、叔母の色を変えた。 「あら、白は色んな色を生み出すわよ」  自信を持った無邪気な黄色は、辺りいっぱいに広がった。 「私はよく色を混ぜる時に白を使ったし、濃淡を表す時にも使うわ。便利で、綺麗で、輝いてて。それに、白が混ざっていればましろちゃんの色だわ」 「そっか…そう考えると、ちょっと気楽かも」  叔母の考えに薄く笑っていると、突然手を叩いた。 「そうだ。一回、他の画家とか忘れていいから、描いてみなさい!」  勢いよく絵描きの部屋へ背中を押されてそろりと入ると、そこには絵描きの匂いがあった。忙しい人だ。 「…」  試しに無言のまま筆を手に取ると、パレットに白の絵の具を目一杯出す。  そのまま他の絵の具を手に取ろうとしたが、すぐに硬直する。  今まで教わった画家に似ない色は…?どこに…  焦燥が駆け巡り、叔母の言葉が再生される。 『他の画家とか忘れていいから、描いてみなさい!』  私の今の気持ちは…叔母の色は…  叔母の感情と、私の色。  あの短い時間を思い出すようにして、パレットに色彩を広げる。  思いのままに入り乱れて、白が何度も行き来しキャンバスの上には沢山の私の色が散らばっていた。  まるで色彩が踊るように、筆を動かす。  考え無しに描き散らした絵は、白の生み出した色彩が彩ってく。  失敗だと思い雪が降り積もるように重ねた白の上に、春が来て芽吹いた。  結果はどうあれ、思いのままに描きあげたのは大きな一歩だった。 「素敵ね。思いのままに描けるのはいいことよ」  叔母はそう言って、小さなコンクールに出ることを勧めた    * 1ヶ月後、新聞の片隅にこんな記事が載った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初!油絵のコンクールに盲目の少女が入賞!… ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー こんにちは、以前「あの夏の入道雲はどこに」というものを書いたToriです! ちょっとだけ長くなってしまいました…やっぱり短編は苦手ですね。 常にネタを切らしている私はあの雲で全部出し切っちゃいました。語彙力が低下してます。 言うなればこの白彩はダシの切れたこんぶを更にくたくたに煮た汁です。あとがきだけど、見るのはおすすめしません() アドバイスを待っています!

みんなの答え

辛口の答え

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手探りでドアノブ?かと思ったら…!

Toriさんこんにちは!しろくま♪です! おお!読んでて、手探りでドアノブを掴み~って所で目に絵の具でも付いたの?と感じたのですが、まさかの目が見えない!素晴らしい展開で描写も上手でした!


好き!

すごい…やっぱ天才じゃん… 主人公盲目なの!?たしかに見る描写がない! やっぱ天才じゃん(2回目)


いた!

オンオンめっちゃ良き! 前書いていたのも好きだけど、これ系のも好きだなあ…! Toriさん、頑張って!応援してる!!


いた!

前書いたやつ、めっちゃよかった! この回もめっちゃ良いよ、表現の仕方とか好き! あれ系も良いけど、こっちもいいね!


すごい…

短編小説を書きながらみなさんのものを拝見して学ばせていただいております、桃色の虹!です! 主人公は盲目なんですか…すごいな…それでも頑張って絵を書こうとして… 色の表現がとても素敵でした。語彙力が違いますね。自信持ってください。 長くなるのでここで撤収します笑素敵な小説どうもです(*^o^*)


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