俺が見たとあるカップルの話
ある日、仕事が終わって電車で帰る途中、俺の前に座っている20代くらいのカップルが言い合いを始めた。 ちなみに俺は24年生きてきて恋人が出来たことがない。 彼氏が彼女の肩に頭を乗せた。 「ちょっと、重いからやめて」 彼女はスマホをいじっている。 「え、なに、俺のこと嫌いなの?」 彼氏はニヤニヤしている。 「いや、だって重いから。肩に負担がかかるの。人の頭ってほんとに重いからね?やめて」 彼女は少し怒っている。 「でも前酔っぱらったとき俺の肩に頭乗せて甘えてきたじゃん」 彼氏は彼女をからかう。 「あのときはちょっとどうかしてたけど、とにかく重いからやめてねって言ってるの!はい、これで終わり」 彼女は話を終わらせようとするが彼氏は話をやめない。 「え、勝手に話終わらせるのやめてよ。もしかして怒ってる?そんなに俺のこと嫌いなの?」 彼氏は彼女の反応を楽しんでいるようだ。ずっとニヤニヤしている。 「そんなこと一言も言ってないじゃん。重いからやめてって言ってるのに色々言ってくるから怒ってるけど」 彼女はさっきよりも大きな声で話す。 「けど何?」 「・・・嫌いじゃないから」 彼女はスマホをいじりながら言った。 「それじゃあ伝わらないなぁ。スマホじゃなくてこっち見て」 彼氏はまだ引き下がらない。 「やだ。今友達とLINEしてるの」 彼女は何かをこらえるような顔をしている。 「昔はもうちょっと素直だったのになぁ。告白してきたのそっちだからね?あ、でもあのときお酒飲んでてポロっと言っちゃった感じだったから昔というよりお酒飲んでると素直になるんだ。酔ってないと愛を伝えることができないんだね!」 彼氏はからかい続ける。 「そんなことない!あとで言います」 彼女はなんだか苦しそうだ。 「今言ってよ。今すぐ。ちゃんとこっち見て言って」 すると彼女は彼氏の方を見て言った。 「嫌いじゃないです」 言うと唇をきゅっと結んだ。 「違うでしょ。ちゃんと言って」 彼氏はニヤニヤし続ける。 彼女は黙ってスマホをいじる。 「スマホじゃなくてこっち見て」 彼女は無視している。彼氏は彼女の頬をつついたり息を吹きかけたりしだした。彼女の顔がしだいに赤くなっていく。 「ねえ、こっち見て」 「やだ」 「なに、照れてんの?」 「違うから、やめて」 「顔赤いよ」 「いいから黙って」 彼女はスマホをいじるのをやめてうつむいた。 「ねえ、こっち見て言って。俺のこと好き?」 「・・・うん」 彼女はついに首を縦に振った。 「ちゃんとこっち見て言って」 彼氏はまだニヤニヤしてからかう。 「無理」 「なんで?」 「無理なものは無理!」 彼女の顔は真っ赤だ。 「恥ずかしいの?」 「・・・」 「かわいい~最初からそういってくれたら良かったのに」 そう言って彼氏はまた彼女の肩に頭を乗せた。 彼女はもう抵抗せず、彼氏とは反対の方向を向きながら顔を赤くしていた。 なるほど。彼女は肩に頭を乗せられるのが恥ずかしくて怒っていたのか。スマホをずっと見てたのもときどき苦しそうな顔になったのも必死に耐えてたからだ。でもほっぺたつつかれて顔が赤くなっちゃったんだ。彼氏もなんだかSっ気あってこっちまでドキドキしてしまった。なんてかわいいカップルなんだ。 あー、俺も恋人、 ほしぃー!!!!! おわり