【短編小説】 x度目の満月
深夜2時。私はダメ元で、カーテンをあける。 …やっぱり、来なかった。 もう、生まれ変わったのかな…。 私はあの日を思い出す。私と「ツキミ」が出会ったあの夜を。 私が11歳の時だ。 夜、偶然目が覚めてしまった。その後、寝付けそうになかったので、 私は窓の外を見ようとカーテンをあけた。 「こんばんは。今日は月が綺麗ですね!」 窓の外から、女の子がにこにこと私に話しかけてきた。 私は目を擦った。ここは一軒家の二階だ。地面から浮いてるって事? しかも突然のプロポーズ? 「あの…どなたですか……?もしかして幽霊さんですか…? あと、「月が綺麗ですね」って、「愛してる」って意味ですよ……?」 私は震えた声で、怖がっている事を悟られないよう必死で喋った。 「……ぷっ!」 女の子が突然吹いた。 「私を見て逃げなかったのは、あなたが初めて!私は幽霊。月から来たの。 とは言っても、満月の日にしかこっちには来れないんだけどね。 あ、あと、さっきのは好きって意味じゃないからね!」 …悪い幽霊ではなさそうだ。私は窓をあけ、幽霊を部屋に入れた。 「あの…幽霊さん、名前なんていうんですか?」 私は尋ねた。 「名前かぁ…。死んじゃったのは結構昔だし、忘れちゃったな…。 そうだ!あなた、私の名前考えてくれない?」 「え……じゃあ……ツキミとか…?」 月から来たのでツキミ。単純だ。嫌かな…… 「す……すごくいいっ!ツキミ…私はこれから「ツキミ」!」 どうやら喜んでくれたようだ。よかった… 「あなたの名前は?」 ツキミから尋ねられた。 「私は……聖。」 「「セイ」か~!いい名前だね!」 「いい名前」…。そう言ってもらえて、私はとても嬉しかった。 その夜から、私とツキミは満月の夜に、一緒に過ごすようになった。 ゲームをしたり、しりとりをしたり、世間話をしたり……。 今まで怖かった夜が、楽しいものになっていた。 何度目かの満月の夜、ツキミはふいにこう言った。 「私…そろそろ生まれ変わろうかと思ってるんだ。 別に聖が嫌になった訳じゃなくて……その…また、人間として生活したいなって…」 私はその言葉を聞いて、悲しくはならなかった。 生まれ変わりが「別れ」になるという事が、その頃はまだ考えられなかったのだ。 「だから、私が来なくなっても、無事生まれ変われたって思ってね。 生まれ変わった後も、また会おうね!……」 その夜が、私とツキミが会話を交わした最後の夜だ。 その後、満月の夜にツキミが私の部屋に来ることはなかった。 ツキミ、今はどこで何をしているんだろう。 私の事、覚えてるかな。 友達はできたかな……。ツキミなら、きっと心配ないよね。 私の中で想いが溢れる。 ……でも、また会えるよね。だって、約束したんだから。 今日は、待ちに待った成人式だ。 かつての同級生達は、どんな大人になっているのだろう。 私は窓の外を見る。昔の事を思い返したら、なんだか前向きな気持ちになれた気がする。 もうすぐ夜が明ける。 読んでくださってありがとうございました! コメント欄にて感想を頂けると嬉しいです!
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
わー!
あーやです^^* 私も満月にしか会えないっていう設定のお話かきました! 偶然ですねw よかったらぜひ読んでください! ミツキたちが可愛らしくてホッコリです(*^^*) 生まれ変わるなんて素敵ですね! もうすぐ夜が明けるっていう最後の言葉がすごく気に入りましたw 次の作品も楽しみにしてます!