短編小説「十五夜草」
ぼんやりとした朝だった。 「別れよう」 その一言だけが送られてきた。 彼とは三年くらい前から付き合っていた。仲は良かったが、だんだん疎遠になっていった。自然消滅というやつだ。だから、このメッセージが届いた事にもあまり驚かなかった。今更か、とさえ思った。 答えは決まっている。 「そうだね」 私はそう文字を打ちかけて、手を止めた。というか、手がうまく動かなかった。これじゃまるで、私の本能が彼を繋ぎ止めようとしているみたいじゃないか。お互い、とっくに気持ちは冷めているはずなのに。 しばらく、彼と付き合ってからの事を思い浮かべた。三年前、告白したのは彼の方だった。買い物や遊園地に出かけたり、毎日それなりに楽しかった。疎遠になっていったのは、確か別々の大学に入ってからだ。 そこでふと考えた。私は彼に、自分の気持ちを伝えた事があっただろうか。告白したのも別れを切り出したのも彼だ。関係が希薄になってきた時も、会いたければ会いたいと言えばよかったのに、変なプライドが邪魔をした。本当に素直じゃないなと我ながら呆れた。でもそれも今更か。過去を引きずるなんて私らしくない。 「そうだね。今までありがとう。」 そう送った。 なんだかすっきりしない気分だ。少し散歩にでも行こう。 一休みしようと公園のベンチに座ったところで、傍らに咲いた淡い紫の花に気づいた。多分「シオン」という花だ。幼い頃、植物に詳しい母が教えてくれた。花言葉は確か…。 思い出し、私は苦笑した。 こんにちは、作者のみよはです。 私は素直になれない事が多いので、書いていて主人公に共感することがありました(笑)。 シオンの花言葉は「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」です。 ちなみに題名は、シオンの別名です。秋に咲くからだそう。 それでは、またどこかで。
みんなの答え
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切なくて良い話ですね!花言葉もいい感じに使われてて、やわらかい話だと思いました!
短い感想です
とても良かったです! 花言葉、流行ってますよね!