さようなら
高校の同級生が癌にかかった。 私は早速、お見舞いに行った。 「増渕椿(ますぶち つばき)。久しぶり」 私は病室の椅子に腰掛けると、笑顔で言った。 増渕は元気そうだった。 戸惑ったような表情を見せたが、すぐに微笑を作った。 「久しぶり。香(かおり)。今は大学生?」 私は首を振った。 「ううん。社会人。短大だったの」 「へえ。どこで働いてるの?」 私が勤め先の商社を答えると、椿は目を見開いた。 「一流商社じゃん。エリート!」 「違うよ。エリートじゃない」 しばらく増渕と話した私はお見舞いの品を袋から出して、渡した。 勤め先近くの、老舗和菓子店で買ってきたものだ。 その店の和菓子は全て美味しいが、中でも、買ってきた餅はとても美味しい。 増渕は餅が好物らしい。目を輝かせて、餅が入った箱を眺める。 「ありがとう。香」 「どういたしまして」 私は笑顔を維持したまま、ベッドの脇に置いてある背の低い棚の上を見た。棚の上には花瓶が乗っていた。花瓶には何も生けられていなかった。 「椿。その花瓶に、花を生けてもいい?」 増渕は首を傾げたが、頷いた。 私は自分が育ててきた植物を袋から出した。 私は病院を出ると、ふっとため息を出した。 増渕のいじめに耐えられなかった妹、怜花(れいか)。優しく、可愛かった怜花は増渕が入っていた部活に入部した。入部してからすぐにいじめられ、退部してもいじめは続いた。 それから、精神的に追い詰められ、限界に達した妹は私の前で自殺した。ナイフで喉をついた。真っ白だった首は血に汚れ、セーラー服には血が模様を描き、両腕、両手には血のペイントが出来た。 妹は自殺する直前、私に言った。 「お姉ちゃん。私、もう生きていけない。じゃあね」 妹が死んでから、いじめのターゲットは私に変更された。 私は耐えた。必死に耐えた。 妹の仇を取るためには生きないといけないから。 これは、私と怜花の復讐なのだ。 花に詳しいから知ってるよね。 私は花を育てるのが好きだった。 自分が育ててきたあの花がまさかこういうことに使われるとは思ってもいなかった。 増渕。 あの花の花言葉、知ってるでしょ? 香が帰ってから、私は花瓶の花を眺めた。 香の気持ちを表しているのだろう、トリカブト。 トリカブトの花言葉を私は知っている。 騎士道、厭世家、栄光、人嫌い。 そして。 復讐。
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おおおー!
あーやです^^* 私はよく花言葉使った小説書くんだけど、「怖い花言葉」とかで調べるとその花が出てきて知ってた! けど、私怖い花言葉使うのは苦手だからこんなに綺麗に花言葉にまとめられるのが羨ましい! 改行がうまくてすごく読みやすかったよ! なんか上から目線でごめんなさい(>_<) 次の作品も楽しみにしてるね!