席替えと勇気と
8番…あ、後ろの方じゃん。ラッキー。 ただ今うちのクラスでは席替えをしていて、教室はとても盛り上がっている。 「ちょっ…俺一番前なんですけど!?」 後ろの方のやつ変えてくれよぉ~、なんて言ってる男子がいたり。 「お前…交換無しだって言ったろ?」 なんて呆れてる先生がいたり。 「席の移動始めて~」 学級委員長の女子が声をかける。椅子を机の上にあげて、運ぶ。たまに持ち上げてごまかして、先生の目がなさそうなら下ろして、引きずったりしながら。 一通り移動が終わると、よろしく~とか、お前近く?イェーイ、なんて声が聞こえて来る。 えっと、私も隣の人に挨拶しなきゃ…と思い隣を見ると 「あ、よ、よろしくお願い、し、します」 The 陰キャと名高い井口くんが、こちらを見て挨拶していた。 「…よろしく~!」 普通に返事をする。 ―――神様、こんなことってありますか? (好きな人と隣…!嬉しい…っ!) そう、彼は私の好きな人。彼と隣になれる確率なんて低いし、無理だろうなと思って諦めていたのに。 私の好きな彼、井口くんはとってもいい子。落ちた消しゴムは拾ってくれるし、教科書を忘れた子には見せてあげるし。さりげなく黒板を消したりしたりもして。 そんな彼の些細な優しさに触れたら、いつのまにか目で追っていて。 …好きなんだなって気がついた。 「班長を決めてくださーい。決まったら私に伝えに来てー」 学級委員長が呼びかける。 井口くんは班も同じで、顔がニヤつかないように抑えるのが大変である。 「なぁ、俺やってい?良いよな?」 そう言い出した男子がいたので、みんな喜んで譲る。あの男子は学級委員長が好きなんだっけ。少しでも喋りたいんだなぁと他人事のように思いながら、井口くんを眺める。 井口くんは、所在なさげに本を読んでいた。いつもの井口くんの姿。 …何の本を読んでいるのだろう。 いつも気になって…でも聞けなくて。話しかける勇気もなく、私はただ、いつも彼を見つめているだけ。 (今日も聞けないかなぁ) そう思っていると、彼がふっと顔をあげた。 「ぼ、僕何か、しましたか…?す、すみません」 「えっ、あ、いや」 なにか勘違いをされたようで、別に何も、と言おうとしたとき。 ふと、 (今聞かなきゃダメだ) そんな気がして。 「な、何の本読んでるんだろうなぁ…って」 やった、言えたっ…! 自分の鼓動を感じながら、彼の返事を待つ。 「べ、別にたいした、本じゃ…こ、これです…」 彼が本を軽く閉じて、表紙を見せてくれる。 見ると、知っている本だった。 「これ知ってる!面白いよね!」 「え、ほ、ほんとですか…?」 いわゆる名作、と言われる本で、同世代で読んでいる人は少ない作品。でも面白い。 「うん!どこまで読んだー?」 そうやって会話を広げて…普通に話すだけで、心の中があったかくなる。 ちょっと勇気を出したら、こんなに楽しいことに出会えるんだ。 (…聞いてよかった) それに、そう思わせてくれる井口くんのことが、やっぱり好きだなとも思った。 END 読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。 臣です。おみ、と読みます。私も席替えをしたのですが、まぁそれはそれは何とも言えない席になりまして(笑)理想の席替えを書いてやる!と思って書きました。 感想やアドバイス、お待ちしています。喜んで読みます! ※なりすまし、盗作等はとても悲しいです。絶対にやめてください。
みんなの答え
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心があったまるお話ですね…!
すごい温かいお話というか…すごい文章力ですね! 2人の続きが気になります…!
良いところで...
どうも、鈴木爆撃機です。 今、臣さんの作品全部読む企画の途中です。2作品目です。 いや~何か、良いところで話が終わってるんですよね。 これから2人はどうなるのかな。そういうのが気になる終わり方で、それがまた良かったです。 ちょっと2人のその後、本当に気になるので勝手に妄想します。 やっぱり妄想している自分の気持ち悪さに気付いたのでやめておきます。
す、すごい!!
臣さんやっぱりスゴい!!ファンになりつつあるジュビです笑。 来週席替えがあるのでいまから楽しみになってきました!いまから臣さんの作品読んできます!!
よし、全部答えちゃえ☆
もう臣さんの文章力天才過ぎですー! しかもアドバイスもしてくれるので、 優しい人なんだなと思います。 これからも応援します! 席替えで好きな人と隣になれたらもう幸せだなー、って私も思います。
無題
あーまたです… 「めっちゃ素敵」って思ったら臣さんでした…() 臣さんの作品、好きです。 語彙力が高くて丁寧だから想像しやすくてとっても楽しめるんですよね。 投稿してくれて有り難う御座いました!
私も...
私も今好きな人と席がとなりなので、自分と重ねてしまい とってもキュンキュンしました!!
主人公可愛い。
めっちゃうまく描かれた恋愛小説で恋愛ものをあまり見ない ぬっしも久しぶりにドキドキしました! ありがとうございます!
最高っ!
こんにちはぁ!エナガ大好きなシマエナガでーす! 臣さん~!私の大したことない小説に回答してくれて、ほんっとに嬉しかったです!憧れの先輩から褒められちゃった感じ?言葉に表せないほど嬉しかったです! そしてアドバイスもありがとう!見習わなきゃぁ!うおぉぉっ!! そういえばこの前、席替えしたんですよ。(落差激しいぞ) …でも、好きな人と正反対の席だとおぉぉぉ!?泣涙怒 いや~、この話が現実になってほしい…。 そそそそして! 井口君の性格良すぎてほんと『タイプだわ~』って思っちゃいましたw いつも読みやすくて面白い小説をありがとう~! では!(凄いハイテンションなシマエナガでした~笑)
すごい!
本当にすごいですね これからの二人気になります
よかった!
臣さんの小説、いい! すっごく楽しかった。 次作、よろしくです! では!