透ける私の手の向こう岸、満月。
本を読んでいた。ソファで。 いつもの夕方。いつもと変わらない日暮れ。 「ねぇ、その本面白いの?」 私は一人暮らしのはずなのに、後ろから声が聞こえた。 振り向くと、私がいた。 けど、Tシャツにジーンズを履いている私とは違い、黒いワンピースを着ている。 「あ、どうも、死神です。ドッペルゲンガー的なやつです。」 びっくりする間も無く、自分の頬をつねる。 痛い。 いやいやいや、おい。何。 ドッペルゲンガーって、自分が2人いて、遭遇すると死ぬとか言うやつ? 「んー、じゃあ、私死ぬってことですか?」 冷静さを保たねば。 「まあ、人間いつしか死ぬね。」 「いつ死ぬかわからなくなるってことですか?」 「まあ、いつもそうだよね。てか私のこと見えてる?」 「そうですけど…。見えちゃまずいですよね。」 「うん。どっちかが不具合起こしたようなもんだね。」 「体調的な不具合ですかね。」 「いや。知らないけど。」 なんか、死神って言ったって死そのものなんだなって実感する。 早く死なせるとかそういう概念はなくて、ただ単に私の死期が迫ってるってことだけだろう。 「ねーねー、そんな本読むヒマあるんだったらカフェにでも行けば?カフェ好きでしょう?」 「えーと、心残り無くしとけって意味ですか?」 「ま、人生いつでもそうした方がいいよね。」 正論しか言ってこねぇ。少しは人間のイメージに従ってくれたっていいじゃないか。 あ、それは押し付けか。 玄関を出て、カフェに向かう。 いつもの道を歩いて。 こんな夜にカフェに行くのってあんまりなかったな。 交差点。 青になった信号を確認して歩き出す。 横断歩道に踏み出した瞬間、爆音と共に意識が途絶えた。 起き上がると、そこにはトラックが転がっていた。 ついでに私も。 少し私は透けていて、横断歩道の縞模様がグラス越しに見るようにぼやけている。 隣に死神さんがいた。 「うん、予想してなかったね。大体私見えてる時点でおかしいけど。」 「いや、カフェにもついてないし。別に行きたかったわけじゃないけど。」 「しょうがないよ。ま、私見えたらダメってことだね。」 そういうと、死神さんは消えた。 私もどんどん透けていって、見えなくなった。 無責任な気もして、こういうものな気もする。 見えなくなった私の向こうに夜の満月が映る。 コメント 最近短め。いろいろあるからな。 読んでくださりありがとうございました。 よろしければまた次の機会にー。 by地縛霊
みんなの答え
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地縛霊さぁぁん!!
もっけ飴です(*´∀`*) うわぁぁ!地縛霊さん! 今回も良いね~ 死神を出すとは! 読んでいてとても楽しかったです♪ 応援してるね☆ 同じ花子くん好き(違ったらごめん!)としてこれからもよろしくお願いしまぁす! それでは~。
うわぁ
もうカフェに行こうとした時に、あーだめだよ!!って思ってたんですが…そうだよねぇ…面白いお話でした(・ω・`*) 主人公の性格が結構好みで、描写は綺麗だし話は面白いし…控えめに言って好きです(*´`) 次作も楽しみにしています♪