【短編小説】ホント
私には超能力がある。 それは、相手の表情が本当の気持ちを表しているのかが分かる能力だ。例えば、具合が悪い時に心配してくれているような顔をしてくれる人がいる。でも、それが嘘だと、本当は心配してないのが分かる。 ここで気づいた人もいるだろう。 この能力は、嫌なことの方が多い。それに人の表情なんて、長く過ごしていれば癖とかで誰にでも分かるようになる。 つまり、ハズレ。 ショボい、意味無し、能無し。 「はぁ。」 溜息が何度も何度も出る。とにかく憂鬱なのだ。だって、みんな嘘付きなんだもの。 自分の机を中心に、ぐるりと見回す。 ウソ ウソ ホント ウソ ホント ウソ ウソ ウソ… 素直に感情を顔に載せる時ももちろんあるが、つくられた顔が多い。 人工的な、つまらない嘘の笑顔の裏には、何が隠れているのだろう。心の中までは分からない、そんなもどかしさが能力の中途半端さを目立たせる。 友達は、いる訳がない。 ガララとドアが開く音に、ゾロゾロとみんなが席に戻っていった。いつのまにかホームルームの時間になっていた。 先生がいつものように入って来て、後からすらっとした男子も入ってきた。 一瞬空気がざわめく。 そういえば、今日は転校生が来ることを忘れていた。 「はい、皆さん静かに!」 先生が手を叩く。 「今日から皆さんに新たな友達ができます。歓迎しましょうね。」 ウソ おい、先生が歓迎してないとか最悪じゃん…。 呆れる私に気付くはずもなく、先生は隣に立つ男子に自己紹介をするように促した。 男子はうなづくと、慣れた手つきで黒板に名前を書き、にっこり笑って言った。 「よろしくお願いします。」 ウソ だった。 私の隣の席になった転校生君の顔は、一週間のうち、一度もホントにならなかった。 こんな人は初めてだ。横顔を見る。男子と楽しそうに話す顔は、このうえなく自然で、とてもつくられているとは思えない。 気になった。彼の心の中が。 私は毎日彼と一緒に帰る事にした。彼の表情はとても滑らかで、楽しい。それなのに、伝わってくるのはウソ、ウソ、ウソ。 ある日、耐えきれなくなって聞いてしまった。 「あのさ、なんでいつも表情つくってるの?悩みとか、きくよ?」 ホント 彼の驚いた顔と、何故かホッとした顔が、そこには有った。 私には超能力がある。 それは、相手の感情の真実を知ることができる、かけがえのない能力だ。 コンコン ドアがゆっくりと開かれる。 隣の彼と微笑みを交わす。 ホント 今日も私は、冷え切って閉ざされた心を温める。 「こんにちは。」 本日最初のお客さんが笑う。 ウソ 絶対ホントに笑わせてみせる。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
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そうです!
カウンセラーのように、人の表情から気持ちを汲取っているという感じです!
おもしろかったです
おもしろかったです。最後は彼と一緒に、カウンセラーみたいなのしてるってことですか?