傭兵と生き女神
とある宗教団体の建物に幽閉されていた少女を、俺達・・・傭兵隊3班は救出した。 部下達は部屋の捜索に当たり、班長の俺と副班長の倉持は、救出した少女から、事情聴取をしようとしている。 じっと、例の少女の姿を観察した。細身の体に、ゆったりとした衣服を纏っている。年齢は17歳くらいだろうか。髪は下ろされ、とても綺麗に整えられていた。 ・・・長年閉じ込められていたとは到底思えない、健康的な容姿だ。 だが彼女には1つだけ、異様な点があった。 ずっと、表情を一切動かさないのだ。 建物の壁を爆破した時でさえ、こちらを向きはしたものの、その顔は全くの無表情だった。 『こんにちは、お嬢さん』 隣では倉持が、パイプ椅子に座った少女に笑顔で話しかけている。 『・・・こんにちは』 彼女は殆ど唇を動かさず、か細い声で返事をした。 体調は悪くないか等、基本的な質問をしていけば、彼女は全て答えを返してくれた。もっとも、首を振ったり頷いたりと至極控えめではあったが。 『お嬢さんは、どうしてあそこにいたんだい?』 倉持が、少し踏み込んだ質問をする。 倉持に答えて、辿々しく話す少女の言葉をまとめると、どうやら彼女は【生き女神】として信仰対象にされていたようだ。 『表情を動かさない事も、それに関係があるのかな?』 こくり、と頷く少女。もごもごと唇を動かしてから、小さく呟いた。 『私、が・・・笑ったり、泣いたり、すると・・・みんなが、・・・怯えて、しまう、ので』 曰く宗教団体の人間達は、彼女が無表情でいることを美徳とし、何か少しでも反応を示すと、不吉だ不吉だと騒ぎ立てていたのだそうだ。 ・・・つまりこの少女は、笑うことも泣くことも許されず、神の衣を纏った人形として、今まで生きてきたということか・・・。 『そっかそっか・・・大丈夫だよ。私達は、君に怯えたりなんてしないから!今までよく頑張ったね、えらいぞ!!』 倉持が、少女の肩に手を置いて笑う。少女は、ごく僅かに瞳を揺らして、 『・・・ありがとう、ございます』 と、蚊の鳴くような声で呟いた。 少女には身寄りが無かったため、当分の間は俺達の宿舎で暮らすことになった。 いつかきっと。彼女が、大声で笑える日が来ますように。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
うわあああああああああああああ!!!!!
すごい、えと、好きです! pixivで似たような設定の漫画は見たことがありますが、こんな美しい表現のは! ない! こんな時間差コメ誰も見ないかもしれませんが、応援しています! 今になって睡さんのを追っかけているんです!全作品制覇します! またどこかで書いて!