暗闇のクローゼット
クローゼットの中は暗かった。 お母さんが入れた。 僕を、この暗闇の中に。 お母さんは僕に暴力を振るった後は泣きながら抱きしめる。「涼くん、ごめんね」って言いながら。 大丈夫。 ずっと、この中にいたらお母さんが助けてくれる。きっと。 お母さんは僕をここに閉じ込めたまま、ドアを開けない。 僕はこのドアを開けられない。 ドアに棒でも噛ませてあるのか、びくともしなかった。 あるいは、僕の力が弱くなったのか。 でも、それでも、お母さんはいつかこのドアを開けてくれるだろうから。 僕がここにいるのは、僕が悪いんだから。 ここに閉じ込められてから何日が経ったんだろう?そんなことを思っていると、ドアががらりと開いた。 見覚えのない男の人。 紺色の制服を着て、腰に何かさしてあった。 警察官であり、腰のものは警棒だと、僕は分かった。 「お母さんは?」 久しぶりに声を出した気がした。 声ひどく掠れていた。 警察官は僕の前にしゃがむと、言った。 「蓮実涼太(はすみ りょうた)くんだね?」 僕は頷いた。 「お母さんと君は今から遠いところでは離れ離れに暮らすことになるんだ」 理由は分からなかった。 「何で?」 警察官は曖昧に笑った。 「いずれ分かる」 立ち上がった、クローゼットを出た。 部屋には警察官が大勢いた。 お母さんがドアの前に立っていた。 僕を抱きしめた。 泣きじゃくりながら。 ああ。 何となく分かった。 僕とお母さんは一生、会えないかもしれないんだ。 このまま、お母さんは逮捕されちゃうんだから。 「お母さん、大好き」 僕の横で、警察官が泣き出した。 大洋新聞 地方面 小学三年生の蓮実涼太(はすみりょうた)くんを虐待したとして、母親の篤子(あつこ)さん(40)が逮捕された。 篤子さんは涼太くんに日常的に暴力を振るい、殴ったり、蹴ったりなどしていた。冬の寒い日にシャワーで冷水をかけたこともあったという。さらに、近所の住人から通報を受けた警察官が自宅に向かったとき、涼太くんは三日間、クローゼットに閉じ込められていた。 発見されたとき、涼太くんは身体中に汗をかき、クローゼットの中は糞尿の臭いに塗れていたという。
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おぉう…
あーやです^^* 虐待されてるのに、涼太くんの一途にお母さんを思うところが凄く感動…! 書き方が上手いのと語彙力が凄い! 羨ましいなぁ… 次の作品も楽しみにしてるねー!