茉莉花の花と君の香り。
「先輩、今日は調子どうですか?」 「ありがと雄大君。大丈夫よ」 柔らかい笑顔で微笑む先輩。 痛々しいギプスがその横を飾る。 先輩がジャスミン茶をすする。 ジャスミンは日本名で言うと『茉莉花』。 先輩はジャスミン茶が好きでお見舞いに来るたびに手土産として持ってきている。 飲むと気持ちが落ち着くらしい。 「美味しいですか、今日のジャスミン茶」 先輩はにこりと笑い、 「うん。とても美味しいわ。雄大君ありがとう」と言う。 その笑顔を見ると全てが吹き飛んでしまう。 先輩は元々テニス部所属でエースだった。 でも最近大きな怪我を患ってテニス部は休部、暫くの間は学校に行けず入院する日々となった。 「雄大君、毎日来てくれてありがとうね」 時々言われる。高2、大学入試来年に迫った僕が病院に通っている理由。 そう、先輩が、好きなんだー… 「おい雄大ちゃんバック運べよ」 「早くしろ」 同級生に脅され従わされる日々。 もう全てが嫌だった。 歩く気力もなくその場にへたりこんでいたら先輩が現れたのだ。 「ちょっと君大丈夫?」 たったそれだけだけど僕の心に響いた。 体も疲れ切っていた僕はまさに天使?聖母マリア?が君臨したように思えた。 「アイツら…私のコネで退学にしてやるから安心して」 無意識に聞いてしまっていた。 「貴方の名前はー…」 にこっと笑って先輩は言った。 「南條恭子よ。何かあれば言ってね」 その瞬間、僕は先輩、南條恭子に恋をした。 「ちょっと雄大君?」 はっ、いつの間にか過去に浸っていたらしい。 現実世界に戻ってくる。 「大丈夫です」 「そう」 先輩はどこか遠くを見つめた。 そして語りかけるように僕に言った。 「私さ、昨日余命宣告されたんだよね」 「え」 理解するのに暫く時間がかかった。 よ、余命宣告…?怪我のはず… 「だからもうお見舞い来なくていいよ」 言葉が出てこなかった。 硬直する僕に先輩は言った。 「どうせ治らない病気なんだし。来ない方が雄大君も楽でしょ」 自傷するような言い方。明るい先輩が… 「雄大君には教えてなかったね。私怪我してるんじゃなくて病気なの。癌だって。末期だから」 今、先輩はどんな気持ちだろうか。 自分から病気のことを告白して嘲笑うかのように笑う。 「そう、ですか…」 何となくぎこちない笑みを浮かべてみる。 「大丈夫。心配しないで」 先輩はジャスミン茶をすすった。 「雄大君、次のテニス部のエースは澪ちゃんかな」 澪。同い年のテニス少女だ。 澪と先輩はほぼほぼレベルは同じ。 「澪ちゃんに託すわ。インターハイ行ってね」 インターハイ。先輩が目標にしてきた高校生の晴れ舞台。 去年県大会まで出場したけどライバル本咲高校に敗れ夢は叶わなかった。 「澪ちゃんならやってくれるわ、きっと。雄大君サーブは中心に打つのよ。常に利き手で打ちなさい。あと…」 テニスの極意的な事を教えてもらった。 だが好きな人が余命宣告されたという現実を信じられず呆然としていたせいか頭に入らなかった。 そして帰る時を迎えた。 「じゃ…」 弱々しく僕が言う。 もう永遠に先輩と会えないのか? 「うん。また会う日まで、だね」 いつもいじめられて勇気がなく言われるがままだった僕。 これで、これで本当に良いのか? 「?雄大君どうしたの」 フラれることはとっくに分かってる。 だけど、僕は先輩の為に尽くしてきたんだからここで勇気を振り絞ってでも告白するべきだろう。 「先輩、好きです」 思ったよりスラっと出てきた。 映画や漫画で見たことある言葉。 5秒程先輩が固まった。あ、これはやっぱダメだ、と思いかけたその時先輩が顔を綻ばせた。 「…告白するなら先輩じゃなくて恭子って呼んでよ」 「あ、すみませ」 「謝らないで。良いから名前呼びしてよ。上下関係気にせずに」 そんなこと言われても…期待するように見つめられる。 「き、恭子…さん…」 「あっ、さん付けしたな?」 悪戯っぽく笑うせんぱ…恭子さん。 「気持ちは受け取るよ。ありがと」 気持ちだけ、か。 「付き合えないけどありがとう。死ぬまで感謝してるよ。じゃあね雄大君」 何故か鼻の奥がつんとする。 こうなるって分かってたのに。いざなったらこんなに深い悲しみに包まれるなんて。 最後、恭子さんは僕の掌に自分の手を乗せ言った。 「ありがとう」 鼻がつんとする中、茉莉花と先輩の香りが鼻をくすぐった。 初めましてリィでございまする! ぎこちない話になっちゃって結末もよく分からず… 読んでくださいありがとうございました!
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めっちゃいいー!!!
あーやです^^* すっごい素敵ー! 表現が綺麗すぎてびっくり 気に入ったよー! 次の作品も楽しみにしてるね(*^^*)