〈短編小説〉またあの手を握らせて
「ずーっとこうやっていたいね」 「そうだね、ずーっと一緒にいようね」 手を繋いで、私たちはそう約束したっけ。 もうこの約束はないことになってるのかな。 蓮は、私のことをどう思ってるのかな…。、 あ、私の名前は大原くるみ。中1。 私の幼馴染、蓮(れん)と幼稚園の時、約束したことを、最近よく思い出す。 ───それは、私たちは隣の席だから。 中1になって初めての席替え。 運が良かったのか、後ろの方の席で、しかも蓮と隣の席。 「蓮!よろしくね!」って言ったのに、「おー」しか言わない。 でも、近くで一緒に入れるから、余計に 思い出す。 私は、胸が苦しくなるくらい、蓮のことが好き。 次の日 「…ヤバ!数学の教科書忘れた!」 よし、こーなったら…。 「蓮、数学の教科書忘れちゃったから見せてくれる?」 「いいぜ」 っしゃあぁ! 「どーもー」 適当に感謝の言葉。 ああ、数学の授業が楽しみ…! だって、机くっつけて近くでいられるんだもん。 4時限目 数学 「ねえ蓮、これってどーゆー意味?」 「これは…」 私が質問したことに、次々と答えてくれる蓮。 こういう所が優しくて好き。 私が教科書に手を置くと────。 「あっ」 そこにはちょうど、蓮の手があった。 昔、手を繋いだ時より、ずっとごつい。 「ご、ごめんっ」 「あー」 ………。 沈黙が続く。 「あのさっ」 「ん…?」 ドキドキと、心臓が音を立てている。 「昔こーやってやったよね。なんか、恥ずかしいかも」 …ってあれ!? スルスルと言葉が出てくる。 「…俺は嬉しいけど?」 「え…?わ、私も…」 「って考えれば、今授業中だね」 「あ…、ほんとだ…」 「やB…」 そこに、先生の声が飛ぶ。 「そこ!何を話している!今の問題答えろ!」 ヤベえ…。 蓮も同じようなことを考えてたみたいで、2人で苦笑い(^_^; 放課後 「蓮、久しぶりに一緒に帰らない?」 「あー」 私たちは肩を並べる。 って、蓮の身長おっきい…。 「身長ちっさ」 「もう!どーせ私は150センチないですー!……てか、…手、繋がない?」 「…は?」 私は無言で手を差し出す。 「また幼稚園の時みたいに、手、握らせて」 私は勝手に手を繋ぐ。 昔から私は、積極的だから、こーゆーのもできる。 「…昔のこと思い出すな。約束しただろ?」 「え?ウ、ウン」 「あれ、今も思ってるから」 「…ん?」 「俺はずっと手を繋いだまま、一生いたい」 「…っ、私もっ!」 私は、思い切り蓮の元へ抱きついた。 蓮は恥ずかしがっていたが、次第に笑顔になり、私たちは抱き合った。