短編小説みんなの答え:2

ゲッコウ

手錠を嵌められた手で、窓の鍵を外した。 ここは一階。 少しでも頭が回る犯人なら二階以上にするだろうから、こいつはバカだと考えて良いだろう。 必死に肌にまとわりつく恐怖を楽観的に考えることで無くそうとしている自分に笑ってしまう。 怯えていようが、何だろうが、ここから逃げ出す以外に生きる道はないのに。 幻想的な月は真っ暗な部屋に差し込み、瀟洒な演出をしている。 このまま行くと死ぬのは必定、逃げるほか道は無い。 私は窓を開ける。 涼しげな風が部屋に吹き込む。 小さなうめき声が聞こえた。 犯人の男、鹿目(かなめ)が起きそうだった。 喉から出かけた悲鳴を呑み込んで、窓から飛び降りる。 すぐに、鹿目の大声が聞こえた。 満天の星空に、紺碧の海。 どうやら、私は海の方に連れてこられたらしい。 鹿目が追いかけてきた。 私は走り出す。 何とかして逃げないと。 逃げないと。 必死に、それだけを考えて私は走っていた。 「待て!待て!久我月葉(こが つきは)!待て!逃げるな!」 耳に入る波の音。 なんと風流な。 犯罪者から逃げる場面には似合わない。 足音がすぐ近くまで来て、腕を引っ張られた。 「俺から逃げるな!」 言いながら、私を引っ叩く。 身体中アザだらけなのに。 「逃げるな!」 私は鹿目の脛に渾身の蹴りを見舞った。 鹿目が目に涙を浮かべて、膝を抱えて二度三度と飛んだ。 だが、すぐに立て直して私に掴みかかってくる。 私はその手を蹴りつけた。 手が使えないなら、頭脳と足で勝負するしかない。 次の瞬間に私が脛に蹴りを入れると、鹿目は体勢を崩した。 月明かりに紛れて、交番が見える。 私はそこに駆け込んだ。 「月葉。ご飯よ」 お母さんが私を呼ぶ。 私は勉強の手を休めて、一階に行った。 今日のお昼ご飯はラーメンだった。 テレビをつけると、ニュースがやっていた。 「鹿目真斗(かなめ まさと)容疑者は他にも余罪があるとして、吾妻(あづま)裁判官は……」 お母さんがチャンネルを変えた。 お昼の時間帯にやっているドロドロとしたドラマに変わる。 うん。やっぱり、毎日が幸せだ。

みんなの答え

辛口の答え

※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!

すごい

時間がないので短いですが、 とてもよかったです!


無題

助かって良かったです! それにしても主人公強いですね・・・ 憧れます!


12を表示

他の相談も見る

ランキングページへ

相談に答える

相談の答えを書くときのルール

【「相談する」「相談に答える(回答する)」ときのルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
ニックネーム必須

※3〜20文字で入力してね

※フルネーム(名字・名前の両方)が書かれた投稿は紹介できません


せいべつ必須

ねんれい必須
さい

※投稿できるのは5〜19さいです


都道府県必須

アイコン必須

答えのタイトル必須

※30文字以内


じこしょうかい

※140文字以内

※自分の本当の名前、住所などの個人情報(こじんじょうほう)は書かないでね


ないよう必須

※500文字以内


辛口

※ないようがきびしいコメントの場合はチェックをつけてね!


ひみつのあいことばを設定してね

他の人にわからないように、自分しか知らないしつもんと答えを入力してね。

※ひみつのあいことばは忘れないようにしてください

※自分が選んだしつもんや答えが他の人に見えることはありません

ひみつのあいことば①必須

※使える文字: ひらがな・カタカナ・半角英数字

※半角カタカナ、全角英数字が使えないよ

※2〜20文字で入力してね

ひみつのあいことば②必須

※使える文字: ひらがな・カタカナ・半角英数字

※半角カタカナ、全角英数字が使えないよ

※2〜20文字で入力してね

※みんなで使うスマホ・パソコンではチェックしないでね

※毎日キズなんに来ていると、ずっと自動で入力されるよ。くわしくはコチラ