笑顔を知らない君への遺言
「楽しい?」 「うん」 そういう彼女はまるで笑っていない。僕、成田翔(なりた しょう)は彼女と遊園地にデートに来ている。彼女の名前は早川類(はやかわ るい)。彼女はとにかく笑顔を見せない。 「顔は笑ってないじゃん」 「でも、楽しいよ」 「楽しんでるならいいや。次、何乗る?」 「あれ」 類の指したそれは…… 「うわぁぁあああああ!!!」 な、なんでジェットコースターなんだ……!類は……笑ってこそいないが楽しそうだ。 「翔って怖がりなんだね」 「いや、高いのが苦手なだけで……」 「お腹すかない?」 「あ、うん。カフェテリア行く?」 「うん」 「えっと、その前に……」 「?」 「ト、トイレ行ってきていいかな?」 「それぐらい勝手に行っていいよ」 「ちょっと待っててねー」 はぁ、はぁ。えっと薬は……。あった。水出してっと……。ごくっ。ふぅ、落ち着いてきた。もう……もたないのかな、この体。前までは薬飲んでたら大丈夫だったのに……。類のところに戻らないと。 「類、おまたせ」 「あ、先に食べてたけどいいよね」 「うん、全然かまわないよ」 「これ、美味しいよ」 真顔で言われるとちょっと怖い。 「じゃあ、ちょっとちょうだい」 「あっ~翔!それはちょっとじゃない!」 「あはは」 なんて楽しいんだろう。このまま時が止まればいいのに。だけど……そうはいかないよね。 ガタッ やばい、力が入らない……。意識が朦朧とする。類……! ここ…は?白くて消毒液の強い臭いのする壁。病院?あれ……起き上がれない。腕に何かついてる。点滴か……? 「翔!」 「類……」 ああ、類の大きな目から涙が溢れてる。 「翔。説明して」 「説明って何を?」 「とぼけないで……!」 「ハイハイ」 「そんな軽そうにっ!」 「でも…こうでもしてないと今にも怖くて震えそうなんだ」 「翔…」 「だから、ね」 「…………」 「僕……持病があるんだ。お医者様にもいつ死んでもおかしくないって」 「じゃあ、無理してたの?」 「ま…ね。今だって痛くて痛くて泣きそうなんだよね」 「死んじゃ……やだよ」 「類。人間誰だって必ず死ぬんだよ。僕はそれが早かっただけ」 「“だけ”って、私にとっては!」 「僕だって……ずっと類と………いたいんだ……よ」 「翔……」 「ね、だからさ……笑って。最後に一度だけ笑顔を見せてよ」 「笑うって……、どうすればいいのか分からないよ!笑い方が分からないの……。ずっとずっと笑わなかったから……。翔といて楽しかったのに、笑いたかったの……に………ってうわぁ、何するの!」 僕は類の口角を指で引っ張って笑ってる風にした。 「ほら、笑顔。……ねぇ、類。お願いがある。死ぬまでにさ、一度だけでいいから、心の底から笑ってほしい。僕とその笑顔をつくってほしかったけど……それは叶わないから」 「いやだっ!翔と一緒じゃなきゃ絶対笑えないよ!」 「お願いだっ!」 「翔……」 「わかった?」 「うん。うん。約束するっ!」 「そっか……、あり………が…と」 「…………翔。安らかに……」 「翔……。久しぶりだね」 ひとつの墓石の前にひとりの少女がたっている。墓石に刻まれている名前、少女の名前。言うまでもないだろう。 「私ね……まだ笑えないや。けど、いつか笑ってそっちに行くから……待っててね」 その言葉に答えるかのように暖かい風が少女の頬をなでていった。
みんなの答え
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感・動です!
すごい... 目がうるうるしてます 感動しました
ヤバ!淒っ!
スゴっ!感動。 こういう系の作品、もっと出して下さい! 楽しみにしてますから! (プレッシャ一かけてるよね?無理にとは言いません)
ども
・:*+.\\(( °ω° ))/.:+スゥウゴイ です 感動… 次回も楽しみにしています!
感動しました…!
ども、なったぁ。です 感動しました。 ガチ泣きしました…しかも親の前で。 流石に引かれましたw とても素晴らしい作品でした! 応援してます!