短編小説みんなの答え:23

パパもママも成長する

「ま、んま」 「おっ!」 「えっ」 息子が、今確かにママと言った。 「えーずるいってー」 「いやぁパパに勝てるなんてねー」 むくれる旦那に意地悪な笑いを向けつつ、息子をそっと抱き上げる。 「ちゃんとママって言えて、偉いこさんですねぇ~」 目を細めて息子にそう語りかけると、 「ふぇっ、ひにゃ!」 と笑い返される。我が息子ながらとても可愛い。 「ねー絶対パパの方が難しいってばー」 まだそう言う旦那に、つい笑ってしまう。 彼とは結構長い付き合いなのだけれど、昔はこんな感じではなかった。 食えないタイプで、私が振り回されることが多くて。どうしてこの人はこんなに余裕なんだ?と何度思ったことか。 変わったのはいつからだっけ、なんて思う。 多分、一番大きく変わったのは子供ができたとき。 普通の変化な気もするけど、私にとってはすごく嬉しかったのを思い出した。 「うっ……」 食べづわりになってしまって、お腹が空くのが怖くなって。 鏡を見ると、肌が荒れて、やつれた自分が見返して来る。 そんな毎日だった。 妊娠ってこんなにつらいの? そうやって泣きそうになって。 でも私には 「ただいま」 そうやって帰ってきてくれる彼がいた。 「ごめん、家事できてなくて……洗濯物もやってもらっちゃって」 その前の夜眠れなくて、彼よりも後に起きた今朝。 もう彼は出勤していた。 でも洗濯物が干してあって、台所には洗われたフライパンと白い食器。 食卓には置き手紙がおいてあって、 『おはよう。 朝ご飯、一応冷蔵庫に入れたから、食べれそうなら食べてね。 食べれなかったら、夜俺が食べるから。 無理はしないで。早く帰って来るね。 あ、みかんのゼリーもあるからね。 くれぐれも無理しないでね。』 と書いてあった。無理をするなという内容が二回も綴ってある。洗濯物くらい当たり前、というみたいに、手紙には洗濯物について触れられていなかった。 みかんのゼリーは、私が悪阻でも唯一食べられるもので、ありがたく食べさせてもらった。 「いいの。……お前の辛さは代わってやれないんだから、これくらいさせて?」 心配そうに、私の頭を撫でてくれる。 「ありがとう……だいすき」 素直にそう言うと彼も、 「俺も好き。大好き」 と目を細めて言った。 (良い旦那さんって、こういうのを言うんだろうなぁ) そう思う。 付き合ってた頃は、好きなんて言葉、めったに聞かなかった。 でも最近はよく言ってくれる。なんでだろうって思ったけど、理由はわりとすぐ気づけた。 私を安心させようとしてくれてるんだ、って。 辛くて辛くてたまらない私を、気遣かってくれて。 でも言葉だけじゃなくて、行動にも表してくれる。 妊娠中に、旦那さんに不満を抱く人が多いって聞くけど。 (うちは逆かな) もっと好きになって、ありがとうって気持ちでいっぱいになった。 ……そんな、辛いけど愛にあふれた日々を送って。 しばらくして安定期に入ったら、親になるための勉強を二人でした。 赤ちゃんのための服とか、必要なものを一緒に選んで。 出産が近づいたときはいっぱい心配してくれて、いっぱい助けてもらって。 そうやって生まれてきた、私たちの赤ちゃん。 はいはいが出来るようになって。 立てるようになって。 喋れるようになって。 どんどん、成長していく。 「ぱっ、ん、へぁっ?」 「え、今"パ"って言ったよね!?あとちょっと!!」 「ふぇっ……」 興奮している彼に、息子がびっくりしている。 「ちょっと、びっくりしてるじゃんか~大人げないなぁ」 「自分が呼んでもらえたからって余裕かよ……くそー」 食えなかった彼は、息子のために優しくなって、そして甘くなっていく。 私は、彼と息子、二人を愛して成長していく。 息子はもちろん、どんどん大きくなって。 反抗期とか来るのかなぁなんて想像して、その前にイヤイヤ期?なんて思って少し苦笑いする。 ───でも私は愛するよ。絶対に、ずっとね。 「ぱっ、ぱぁ?」 「えっ……言えた、よね、え、え!!」 彼が喜んで、甘い笑顔で笑っている。それを見て私も口角を上げた。 彼がいないときにこっそり『パパ』の発音を教えていたことは、まだ秘密にしておこうと思う。 END 読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。 臣です。おみ、と読みます。もちろん未経験なのでいっぱい調べましたが、何か問題があったら優しくご指摘ください……。良くあるネタで申し訳ないです。 感想やアドバイス、お待ちしています。喜んで読みます! ※なりすまし・盗作等は本当に悲しいです。絶対にやめてください。

みんなの答え

辛口の答え

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小説の幅広すぎます!

どうも、鈴木爆撃機です。 青春ど真ん中の恋愛小説を書いたかと思えば、男の独り暮らしの話も書いていて、今回はマタニティブルー気味の母親のお話。 小説のテーマの幅、相当広いですね。しかも全部面白いですからね。 その発想力、羨ましいです。


人気の理由がわかった

何でこんなに人気なんだろと思って 読んでみたら この完成度と表現方! 流石!(何様) いいなぁ羨ましいなぁ


最高すぎて頭狂う

こんちわぁ!エナガ大好きなシマエナガでーす! やばい…最高すぎて頭狂いそう…(意味不) 「ま、んま」とか「ぱっ、ぱぁ?」がリアル!めちゃくちゃかわええやん! そして夫が優しすぎてにやけたw 最高の夫婦ですな! 神小説ありがとう! では、さいなぁら!


尊敬する!神かよ!

すっげえええええ!! なんでこんな神作作れんの!? 次回作も楽しみに待ってますね! 絶対見るから!


大人目線

今まで大人目線の短編小説は全部よくわからないものばかりでした。大人目線だなんて想像でしょ?よくできるわけないじゃない。 って思っていた私を覆してくれたあなたです。 私はあなたをすごいと思います。 そして、そんな感情を持っていてごめんなさい。


す、すごい……

なんだかとってもホッコリしました!やっぱり臣さんはすごい!!! 最後の「彼がいないときにこっそり『パパ』の発音を教えていたことは、まだ秘密にしておこうと思う。」ってとこ、なんだか自然と笑みがこぼれました…。読書あんまり好きじゃないけど臣さんの作品なら楽しんで読めそうだなあ。 応援してます!


さすか臣さん、、、!!

何気なく面白そうなのを適当に選んで、読んでみたら、まさかの臣さんの作品で!このキッズなんでも相談の、短編小説のコーナーではじめて読んだのが臣さんの作品でした。臣さんは1つの小説を作るのに、時間をかけているんだな、と思いました。私も小説書くのが大好きだけど、専門的な事とかはたいして知らないし、1つの小説に時間をかけたりはしないのですごい感心しました!これからも小説書き続けて下さい!お願いします!


めちゃすごい!!!

臣ちゃんサイコー! めちゃいいよ!ほっこりするー! なんかリアルだなぁ。私もこうして大きくなってきたのか。。。 よし、たまにはなんか手伝うか! また書いてください!また読みます!


はあああ

名前を見ずに読んでいて、 これ誰が書いたん?大人やろw とか思っていたら、やはり臣さんでしたか… 臣さんのファンになります。 これからも素晴らしい作品を期待しています!! ではまたどこかで!


素敵すぎるぅぅ(´;ω;`)

sanaです(っ´. .`)ペコッ 臣さん、ですね。名前覚えました! 前から臣さんのことは知っていましたが、今日、初めて臣さんの作品を読ませていただきました。 毎回 回答がすごく多くて、人気な方なんだなぁ‥と軽くうながしていた過去の自分を殴りたい気分です(笑) 早く知っとけばよかったなぁ‥。 お話、すごくすごく素敵でした。 旦那さんの優しさが胸に染みます‥。暖かいお話だぁ‥(´;ω;`) それと、最後に''パパ''の発音を教えてあげていた奥さん。もうっ、もうなんかもう本当にやばい‥。エモすぎるっ! 素敵な両親から生まれて、この子は幸せいっぱいなんだろうなぁ。 本当に本当にほんっとうに素敵なお話でした。このお話を投稿してくださり、ありがとうございます(っ´. .`)ペコッ 臣さんの過去作も、また読ませていただきますね!


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