奇跡の歌声
俺は歌が好き。歌っていると何もかも忘れられる。歌詞を思い出すのに必死だから。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 今日も桜の木の下で歌を歌う。人を救うというモチーフの歌。この曲が一番好き。俺も誰かを助けたい、救いたいなぁ そんなこと考えてると 「素敵だね」 と声がした。びっくりして振り向くと男にも女に見える中性的な子が立っていた 「ねえ、もっと聴かせてよ。その曲、好きになっちゃった」 「……いいよ。」 少し迷ったがOKを出し歌い出す。さっきの曲の続きを、できるだけ綺麗な声で。 歌い終わりあの子の方を振り向く。そして口を開く 「ねぇ…君は男?女?…名前、教えてよ」 びっくりしたように目を見開き此方を向く。 「僕は女だよ。名前は奈緒(なお)…これからも曲、聴きたい!またきてもいい?」 「うん」 その子とすぐに打ち解け仲良くなった。そして半年後 「あれ…今日は来ない…。どうしたんだろ。いつも、奈緒は病院の方から…びょういん…??」 俺は嫌な予感がした。近くの病院に駆け込む 「はぁっ…はあっ…奈緒…奈緒ってここにいますか!?」 「あぁ…いるよ。奈緒ちゃんの友達かな?三階の304号室にいるからいってあげて」 「……ありがとっ、ございます!」 三階に駆け上り304号室の扉を開ける 「……奈緒!!」 「………!!!」 そこに彼女はいた。腕に点滴が刺さってて前よりも痩せていて…。 「なんでここがわかったの…?ま、そんなことどうでもいいや。ごめんね隠してたことがあるんだ。僕はもともと余命半年だって言われてたんだ。…ふはっそんな顔しないでよ。僕、曲が聴きたいなぁ…初めてあった時歌ってたあの曲」 俺は涙を堪え歌いだす 「~~~~~~~~♪♪…~~~~♪」 ーーーーーーーーーーーーーーーー 「やっぱりいいね、その曲。…ああも、力が入んない…ごめん、ここまでかも…」 「………!!」 堪えてた涙が溢れ出す。 「そんな、顔しないでよ。僕は笑顔で見送ってほしいな。…あの曲でおれはすく、われたよ。あり、が、と…」 そういって彼女は力尽きた。あぁ俺は誰かを救えてたんだ。誰かを救うという歌で誰かを救えた。俺の歌で、俺の歌った歌で 「……さよなら奈緒…またね」 ーーーーーーーーーーーーーーーー そして五年後、俺はまた桜の木の下で歌う。彼女の好きなあの曲を 後ろで声が聞こえた 「綺麗だね」 「っえ…」 振り向くと彼女のそっくりな男の子が立っていた。 あぁまた繰り返す…。 「ねえ…君の名前は?」 「僕?僕は直(なお)!!」 あーあ、また俺は歌う。その繰り返し。また会いたいよ奈緒。