短編小説みんなの答え:1

菜乃花

やっと2人きりだね、冗談っぽく菜乃花は私に微笑みかけた。 菜乃花と私はいつものように並んで座り込む。 放課後の中学校の校庭は、まるで2人だけの砂漠だ。その砂漠の上に、緑色をかすかに残した枯れ葉が走り去っていく。 「あのさあ、菜乃花…」 「なあに?」菜乃花のきらきらと輝く目がこちらを見つめる。 「なんでもない」 空気が赤みを帯びる。遠くで遊んでいた子どもたちの声もいつのまにか聞こえなくなった。夕飯の待つ家に帰ったのだろうか。 「なによー?」菜乃花はいつものようにくすくす笑う。菜乃花が笑うと、肩まで伸びた色素の薄い髪の毛がさらさらと音を立て、笑窪ができる。ふと、菜乃花が笑顔でいるなら、私はどうなったっていい、と思った。 また、中学校のことを思い出してしまった。 菜乃花と私が中学校を卒業してから2年。私たちは、別々の高校で高校2年生になった。 高校生は忙しい。中学校では毎日のように会っていたのに、菜乃花と遊ぶことはおろか、会うこともなくなってしまった。人気者だった菜乃花は、高校でも友達にたくさん囲まれているだろう。中学校の友達である私とは、別に会いたくないのかもしれない。 夕方、学校から帰ってきてスマホを開くと、菜乃花からLINEが来ていた。驚いてもう一度画面を見る。 やっぱり菜乃花からだ。 「久しぶり!元気にしてた?」 菜乃花がお気に入りだと言っていたにんじんを食べているうさぎのスタンプが可愛らしい。 うん、菜乃花は最近どう?と打つ。 「超元気!実は…」 すぐにピコン、と音がした。返事くるの早いな。 「彼氏できたんだ!優子には言わなくちゃと思って」 そっか…そうなんだ。 条件反射のように「おめでとう!」とスタンプを添えて送る。 「ありがとう」菜乃花から照れたうさぎのスタンプが送られてくる。その日の会話はそこで終わってしまった。私はそっとLINEを閉じ、スマホの電源を切る。 開けっぱなしの窓の外の、いつもの風景。電柱の上に体を震わせて鳴く一羽のからすがいる。その姿がどこか寂しそうに見えた。 菜乃花に彼氏か…。なぜか心が締め付けられるような気がした。 ふと窓の外を見るとさっきの電柱の上のからすが二羽に増えていた。だんだんと冷たくなってきた空気の中、そっと寄り添ったからすたちの周りだけはあたたかそうに見えた。 耐えきれずにベッドに倒れ込む。 菜乃花が笑顔なら私はどうだっていい、なんて嘘じゃん…。頬を流れた涙がシーツに落ちていく。私は目尻に手をやって、そっと涙を拭った。孤独な私には、涙を拭う人は自分しかいない。それでも、いいや。 いつか、菜乃花の幸せを心から喜べる日がくるように。そう祈って私はそっと目を閉じた。

みんなの答え

辛口の答え

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うっわぁ、しょうせつみたいだねぇ。

じょうず!ぼくかんどうしちゃってなみだでちゃった。ゆうこちゃんにもかれしできるといいなぁ・・・。


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