心
この世界には、無くなったものがある。 それは感情だ。 昔、偉い学者が「感情は必要ないものである。」という研究結果を発表した。 一体どういう過程を経て、その見解が発表されたかはいまだ謎だが、当時そこそこ名の知られた学者の話だったため、その情報は瞬く間に世界中に広がった。 その後、一見しっかりした理由づけが成され、わずかに世界の人々は洗脳状態になった。そのため、もともと「感情は必要だ」という主張をする人が多かった世界には、同じくらい「感情はいらない」と主張する人が増えた。 それからは、戦争・デモも広がって、「感情不必要」派がどんどん増えていった。「戦争が起こるのは感情なんかがあるからだ」という主張が説得力を持つようになった。 その結果、進化なのか退化なのか知らないが、人々から感情は消えた。世界は少し平和になった。この平和は、ひどく暗かった。 しかし、これはずいぶん昔の話。今では人々の目は覚めている。そしてこの歴史は、世界でもトップの重要事項として脈々と語り継がれている。 学者が亡くなると共に人々の洗脳は解け、また世代交代も進んだおかげで、人に感情は大分戻った。世界は意外と平和を残したまま、戻っていった。 だからといって、この「後遺症」が無かったかといえば答えはNOだ。 実は今でもたまに、感情が無い人がいる。毎年数十人、日本にも生まれる。 そういう人は、社会ではとても生きづらい。だから、その人には薬が処方される。 感情を呼び起こす薬。感情は本能の中に閉じ込められているだけ、と証明した薬学者が開発した。 「喜び」「悲しみ」「怒り」基本的なものはもちろん、「悔しさ」「苛立ち」「むなしさ」などの、誰が必要とするのかいまいちわからないものまで、多くの種類が開発された。 服薬者は、その場に適した薬を飲む。 やはり、こういう人は世の常とでもいうのか、差別の対象になることもある。 薬を奪われれば、ただの機械だと。何も感じない、感じられない置物だと。 涙は出ても、悲しさは感じない。この涙は回復の賜物だが、めでたくはない。 「怒り」「悲しみ」「苦悩」「悔しさ」「復讐心」「自己嫌悪」... 私は、全ての感情を飲み下した。
みんなの答え
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面白かったです。
短編小説として非常にうまくまとまっているな、と思った。 世界観だけでなく、その世界観に生きるキャラクターの掛け合いや思考などももっと読みたかった気がするが、それは欲張りすぎといったところだろうか。 文章力の高さには憧れるものがあった。14歳、自分と1年しか違わないのに。あと1年でこんな話かけるようになれるのかな。 次回作を楽しみにお待ちしています!
無題(中学生のコメント)
こんにちは。あなたの前の短編小説を読みました。 表現をするのが凄いですね。尊敬します。 いまのあなたの短編小説の文章は少しでも意味が分かります。 そしてウチは、いま中東問題という本を借りています。この前は 国際紛争という本を借りていました。(どちらとも池上彰の本) 社会はいちばん好きな教科です。 小6の時からキング牧師、マララさん、アンネ・フランクとか 色々と知っています。 (クラスの中では興味を持っている子が中々いなかった) ウチは、人間なんて愚かしい生き物だと思っています。 では、また明日。
無
凄いですね!良い文です!(*^◯^*)