私がもう一人!
あかりは、他の人とは、少し違う。 まず、あかりのまわりには、不思議なものがたくさんある。変な文字が書かれてある、教科書のようなもの。ドラゴンの爪。勝手に走り回るカバン。異常に大きい猫。 次に、あかりの服装。長いローブに、手には三角帽子。 そして、あかりはたまたま、魔女だった。 みんなが知らないだけで、世界にはたくさんの魔法使いと魔女がいる。 魔法使いは男性、魔女は女性なのは知っているだろう。 「ねえ、ホントにやるの?」 小声であかりの友達、蓮斗(れんと)が言った。 「やるってば!他の人に聞こえるでしょ!」 そう、ここは学校。まわりには、魔女、魔法使い、魔女、魔法使い…。 あかりの仲間がたくさんいる。 あかりと蓮斗は、自分たちの分身を作ろうと考えていた。 いわゆる、人間界に行くために、分身を置いて、学校を抜け出そうとしていた。 魔法界なら、分身を作るのはたやすいのでは、と考える人がいる。しかし、分身を召喚するのは、高度な術だ。 「いい?まず、休憩時間になったらここに残る。そして召喚する。私たちは抜け出す。終了!」 こんなにも成功しそうにない作戦を、蓮斗は初めて聞いた。 「よし、すたーとぉー!」 休憩時間になったとたん、あかりはびゅーんと飛び出した。その瞬間、顔つきが変わる。 「デューステント・ポルミニカル!」 ムニュ。ムキムキッと音がして、あかりのお腹のあたりから、薄い色のあかりが出てきた。 頭、肩、腕、そして上半身、下半身…。 「おおー!」 思わず、蓮斗から声がもれる。次の瞬間、 「ワハッ、オハッ!驚き、桃の木!」 あかりの分身がしゃべった。 「こいつ、多分、学校においていけないな」 「そうだね。あきらめよっか」 分身を消すのに手間取って、先生に見つかり怒られたのは、言うまでもない。 アーメン。 おしまい