空と雲
「すみません、そこの方..」 「はい?」 「空は、どこにありますか?」 初めてその質問を聞いた時、私は「空」というものが何かしらの店名なのだと思った。 「すみません。存じ上げません」 私に質問してきた彼は、身なりや雰囲気的にこんな田舎で見かける人ではない。 多分旅行客なのであろう。 そんな勝手な推察をする。 ま、どうでもいい。 旅行客だとしたらどうせ今日限りしか言葉を交わさない仲なのだから。 なんとなく気まずくなって私は立ち去ろうとした。 しかし男はそんな私を見てニヤりと笑う。 「じゃあ教えてあげます」 言葉が終わると同時に私を指差した。 「見えませんか?...残念です。」 私に戸惑う隙も与えずにその男は足早に去っていく。 男が指差した天には、暗い雲ばかりがびっしりと敷き詰められていた。 戸惑いよりも得体の知れない恐怖が私の身を貫く。 さっきは今日限りしか言葉を交わさない仲だと思っていたが.... 心なしか、あるいは自然に。私はあの男のことを忘れられないだろうと直感的に悟った。 いきなり話しかけられて「空」はどこか聞かれ、分からないと答えたら「空は無い」と教えられる。 こんなおかしい人間、どうして忘れられようか。 ________________ ________ あの男が現れてから、毎日。 空はまるで何かのスイッチを押されたかのように、雲しか見せなくなった。 あの美しい澄んだ青色を忘れそうなくらい、長い間あの青は姿を見せなかった。 そしてそれは多分、私が原因なのだと、必然的にそう思う。 だって、あの男が毎日夢の中に現れて訴えてくるから。 「俺に空をくれ」って。 ________ ________________ どれほど時間が経っただろうか。 いや、本当は時間なんて経っていないのだろう。 今は夢を見ている。そしてこれからも、私はこの夢を見続ける。 彼から手紙が届いた。 『俺は空が好きだった。んで、俺が空を好きな分、雲が嫌いだった。 雲は空を隠すから。 正直今も分かんないよ。 俺が雲だなんて信じたくないから。 何 で お 前 は あ の 時 、自 分 が 空 だ っ て 気 づ か な か っ た ? ま、もう手遅れだよ。残念。』 そう、これは多分夢だ。 元々は彼は私のことが好きで、だから私をこの世から隠していることなんて。 そんなの夢に決まってる。
みんなの答え
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無題
不思議なお話ですね。自分が空で、雲に隠されちゃうのか・・・怖いです。 でもすごく良かったです!
めっちゃ面白かった!
めっちゃ面白かった! これからも書いてな!
すみません
自分の読解力がないのかよく分かりませんでした