正義【短編小説】
「(自分の人生がここまで追い込まれるなんて思わなかった、たった一人の女性を助けようと思っただけで。終わりの始まりは彼処からだったんだ。あれは、間違っていたのだろうか?)」 奇麗な青い蝶が輝いた気がしたが、そんなことは気にせず俺は目を閉じた。 『お前は間違っていたのか?』 聞こえたのは、聞き覚えのある声だった。だが身体を起こし、周りを見回してみても誰もいない。カーテンのない窓から見える外は真っ暗で、俺の部屋に人が来るはずもないなと改めて考える。 「……はあ」 再度周りを確認し、眠りにつこうとする。夢だったのかもしれないし、幻聴だったのかもしれない。どっちにしろ問われた質問は、今の俺には到底答えの出そうにない質問だった。 アラームを設定した時間より大分早く起きた。昔から休日は昼間まで寝る様な俺だったが、最近は昼間まで寝ることなんて滅多にない。ちゃんと睡眠時間を取れているならば別に良かったのだが、妙な声で度々叩き起こされるので睡眠不足なのだ。 「(……クマが治らない)」 なんてスマホのカメラで確認すればアラームが鳴るまで、と思いスマホを置いて身体を横にした。だが、意思に反して身体は俺を寝かせてはくれなかった。いくら眠くても。 『お前は間違っていたのか?』 誰かが何度も俺に問う。『あの時』間違っていたかなんて俺にはわからない。横になっているのはどこか心地が悪く、スマホを手に取りニュースを確認した。そして未成年が男性へ傷害を起こしたとかかれているニュースが目に入ると同時に、俺の名前も目に入った。『日本の未来は』という題と共に。 《いやっ……助けて……!》 女性が『助けて』と俺に訴えてきた。だから酔っていた男性の肩を引っ張り、『止めろ』と声を出そうとした。が、その瞬間に男が転んでしまった。 《いってえ……!何するんだ、このガキ……!訴えてやる!》 それとほぼ同時にパトカーの音が聞こえ始める。騒ぎを聞きつけた近所の人が警察を呼んだらしい。そして到着した警察が俺らに何があったか、聞こうとしたんだ。そう、聞こうと。転んで頭に怪我をした男の顔を見て警察の顔色が一気に変わった。 《俺が誰だか……わかるよなあ?》 《は……はいっ!》 態度から察するに、相手は権力を持つ者だとわかった。もう、手遅れだったけど。 《ほら、何があったのか説明してみろ》 《……あ……そっ、その……男の子、が……》 あの証言で、俺はあの日から。 俺はちゃんとやってないと必死に訴えた。でも誰も聞いてはくれない。泣いて、喚いて、嘆いても。俺の罪が晴れることは決してなかった。 ……あれ、なんで今思い出したんだろう。そもそも、何故忘れていたかすらわからない。 「俺は……」 『ようやく思い出したか?では改めて聞こう、お前は本当に間違っていたのか?』 今までの声が聞こえた。それは紛れもない自分の声だった。『あの時』を思い出せずに何かを塞ぎ込んでしまっていた俺に問いかけていたのは、自分の心だったのかもしれない。 『よく考えてみろ』 「(……俺は、間違って、ない)」 よく考えてみなくても俺は間違ったことをした覚えはない。今まで俺のしたことが思い出せなかったのは何故だか知らないが、俺はただ自分が正しいと思ったことをしただけだ。腐った大人に未来を『奪われただけ』なんだ。 「……そうだ。未来が奪われたなら、自分で奪い返すまでだ。」 奪われた未来を、『自分が信じた正義』を。そう志せば奇麗な青い蝶が微笑んだ気がした。 ________________ あとがき(閲覧後に読むことを推奨します) 初投稿失礼します。とある屋根裏です。国語が苦手で意味がわからない部分が多々あるかもしれませんが、目を瞑って頂ければ幸いです。 ちょっとした解説もどき↓ 主人公は女性を助けようとしたが、男のせいで無実の罪を着せられる。それがショックであまり事件が思い出せなくなり、次第に自分が悪いのではないかと思い始めた主人公に『お前は間違っていたのか』と主人公の心のなんか(?)が問い始める。目に入ったニュースは主人公が起こしたことになっている事件で、それきっかけに思い出してる感じです。 奇麗な青い蝶は彼の希望的ななにかだと思ってください 長々とお付き合い頂きすみません、御閲覧ありがとうございました!
みんなの答え
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引き込まれる!
凄いです!ほんとに同じ歳でしょうか? 読んでいて引き込まれてしまいました。今の時代普通にあり得ることな気がして、ひと事とは思えませんでした。 “俺”は自分の未来を奪い返せるといいですね! 素敵なお話、本当にありがとうございました。 紫の蝶より