短編小説みんなの答え:1

アオい空に浮かぶシロい雲

 女の子は花を摘みながら歩いていた。まだ覚束無い足取りだ。それでもしっかり自分の力で1歩1歩進んだ。 「いっぱい摘んだねぇ。これで冠作ろうか」 「かんむり?つくる!」  摘んだシロツメクサを広げた。小さな指で1つ2つと数えた。5まで数えることができた。残りは母が数えた。 「17個もあるね」  母は器用にシロツメクサを繋いでいった。 「一緒にやってみようか」  作ったシロツメクサの冠。 「ねーたんにあげるの」 「……お姉ちゃん、きっと喜ぶわよ」  母と父は顔を見合わせて微笑んだ。 「じゃあ、お姉ちゃんのところに行こっか」  親子3人並んで歩いた。  お墓が見えてきた。少し小さなお墓が姉のお墓だ。 「ねーたん!」  シロツメクサの冠をお地蔵さんにかぶせた。 「お姉ちゃん喜んでるわよ」 「なんでわかるの?」 「お空見てごらん?」  空は青く澄んでいた。どこまでも行けそうな気がした。でも姉の姿はどこにも見えない。  母と父を真似て手をあわせる。  しかし退屈になってきてその場を抜け出し、近くの丘をのぼった。だが、石に躓いて転んでしまった。涙がこみあげる。 「ぱぱ、まま」  その声は春風にかき消されてしまった。  何故か温もりを感じた。独りだけど、誰かに包まれているような、見守られているような。そうしているうちに、だんだんと瞼が重たくなってきた。丘の上でゆっくりと眠りについた。 『大きくなったね……』  そうささやいたのは……  これは誰も知らない、覚えていない物語。  誰かが私を呼んでいる。誰かが私の体を揺さぶっている。 「ねえ、起きて!」  目を開けると、青いワンピースを着た女の子がいた。眠い目をこすって体を起こす。目の前に広がっていったのは、緑色の草原だった。私は、女の子と違い、白いワンピースを着ていた。 「ここは?」 「ここは、お腹の中よ」  女の子はそういった。 「お腹の中?」  女の子は言った。ここは、母親のお腹の中ということ。私たちは双子の胎児だということ。私たちはあと少しで生まれるということ。 「へえ、じゃあ生まれるときは、一緒ってことだね」 「うん」 「じゃあ絶対に2人でママとパパに会いに行こうね!」  私は指切りをしようと、小指を差し出す。しかし女の子は面倒くさそうに顔をしかめた。 「いいよ、そんなのしなくても」 「いやだ、するの!」  半ば無理矢理女の子の小指と自分の小指を絡める。 「ゆーびきーりげんまん」  私は歌った。つられて女の子も歌った。そして2人で笑った。  青いワンピース着ているから、女の子はアオ、白いワンピースを着ているから、私はシロという名前をつけた。投げやりで適当な決め方だと思うけど、結構気に入っていた。  くだらない話をしていたら、あっという間に時間は経った。 「今日、私たち生まれるんだね!」 「……うん」 「アオ元気ないじゃん、どうしたの?」 「別に」  きっとお腹の中の生活にいろいろと未練があるのだろう。このときはそんな軽いことを考えていた。 「それよりもシロ、生まれる準備するわよ」 「生まれる準備?」  アオは何も言わずに歩きだした。私もアオについていく。そのとき、大きな石に躓いて転んでしまった。 「もう、シロったら……」  アオは私を立ち上がらせてくれた。 「ありがと」  それから少し歩いた。  ついた場所は海だった。 「ここ……」 「ここから生まれるのよ」  次の瞬間、耳をつんざく大きな音と共に地面が激しく揺れた。そして私は見てしまった。海の水がどんどん少なくなっていくのを。そして海の中からトンネルが出てきた。 「ほら、もう生まれなくちゃ」  アオは私の背中を押す。 「何言ってるの?アオも一緒に生まれるんでしょ?」  アオは、首を横に振った。 「私、もう死んでるの。3年くらい前に、お母さんのお腹の中で死んじゃった。双子っていうのも、嘘なの。シロと一緒に生まれられないの。騙してごめんね」  目の前が真っ暗になった。生まれたら一緒に遊ぼうと思ってたのに。いっぱい……。  1人じゃ何の意味もないの。 「もうあなたが転んでも助けてあげられない。だから、強く生きて」  アオは泣きじゃくる私にシロツメクサノの冠をかぶせてくれた。 「さあ、行ってらっしゃい!」  もう1度アオは私の背中を押した。  強く、生きるんだ。  私はゆっくりと歩みを進めた。もう振り返らない。  転んでいるのに気がついた母と父が駆け寄ってくる足音で目を覚ました。  ゆっくりと立ち上がる。独りで立ち上がることができた。 『強くなったね……』  そう話しかけられた気がした。 「ひとりで立てたね!……ソラちゃん」  この女の子の名前はソラ。  春風が吹く。遥か彼方には、アオいソラに、シロい雲が浮かんでいた。

みんなの答え

辛口の答え

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すごい…

すごすぎます。 私より1歳年上なだけなのにこんなに素晴らしい作品ができるのですか!?!? 私も何度か短編小説を投稿しましたが、下手すぎて採用されたことがありません(´;ω;`) アオはお姉ちゃんだったのかな…?? 私には少し難しい話でした汗 ではまたどこかで!!


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