絶対また、会えるから。
星の屑がキラキラと夜空に舞う。 僕はそれを眺めながら、彼女を待った。 こんな小説みたいなことが現実で起こるなんてね。 彼女が来たらそう言おうと思った。 前みたいに、冗談めかした言葉で彼女を笑わせて、僕も一緒に笑う。 そんな展開はずっと前にも経験した事があったけれど、考えれば考えるほど僕の口角が上がっていく気がして、慌てて顔に力を入れる。 シャラン。 鈴のような音がしたかと思いそっちを見れば、薄桃色のワンピースを着た彼女がいる。 『あはは、なにしてるの?』 水の中に星がいるのかとつい思ってしまうような光り輝く小川の向こうにいる彼女は、笑いながらこちらを見ている。 「いやぁ、別に?」 カッコつけて僕が答える。 『嘘つけ~』 茶化したように彼女が言う。 僕らは笑いあった。 ------------------------------ あれは何年前だっただろうか。 僕らが出逢ったときは、完全なる家出少年と家出少女だった。 僕ら両方とも、自分の事を分かってくれない周りの環境に嫌気が差して、家を飛び出してきた。 当時彼女は公園で泣いていた。 大粒の涙を零して、周りの目なんて気にせずに。 僕はそんな彼女を落ち着かせる為、話しかけた。 …だけど。 顔をあげた彼女はなんとも言えない切なくて儚い表情をしていた。 僕の心は一瞬にして彼女のものになった。 こんな気持ちになったのは、初めてだった。 そこから僕らはあっという間に意気投合し、色々な話をした。 楽しい。 そんな感情が出てきたのはいつぶりだろうか。 流石に毎日は会えなくて、寂しくなった日もあった。 けれど僕は彼女をもっともっと好きになっていった。 いつか彼女がこんな話をしてくれた。 『織姫と彦星っているでしょ?一年に一回、7月7日にしか会えない人たち。その人たちのお話ってさ、ものすごーく悲しい物語だと思うの。でも同時に、すごく幸せな物語だとも私は思う。』 「…それはなんで?」 『色々な人に色々な事を言われて、好きな人とも会えない日々。つまんなくて、すごく嫌でしょ?……だけどさ、一年に一回だけ、幸せな時間が訪れる。たとえそれが一分、一秒だったとしても、それが心のささえになる。』 「……そうだね」 彼女の言っている意味が僕には分からなかった。 なぜ、一秒でも好きな人と会えれば幸せなのか。 長く会えるならば、もっと、、、 『……私にとって彦星の役割をしてくれているのは君なんだよ?』 「………、え?」 急に彼女が告白もどきをしてくるもんだから、変な声が出た。 『…ねぇ、君は?』 彼女が聞いてくる。 「…僕もだよ」 意外とスルッと言葉が出た。 僕らは両想いだった。 ただただ、現実を受け止めきれなかった。嬉しいやら恥ずかしいやらの感情しか出てこなかったけれど。 『じゃあ、行こっか。』 「うん」 どこに行くのかは僕はもう分かっていた。 この町で一番大きな橋の手すりの上に二人で立って、手を繋ぐ。 『ねぇ、また会えるよね』 「うん、かならずね。」 そう言ってから僕らは、夜空に向かって駆けていった。 ------------------------------ 『そんなこともあったねぇ』 「うん、懐かしい」 川を挟んで僕と彼女は隣に座る。 見下ろせば星がキラキラと輝いて町へ落ちていく。 7月7日、七夕。 彦星の僕と織姫の君は今年もまた、一年に一回の再開を果たす。 来年もまた会えるようにと、沢山の星に願いを込めながら。
みんなの答え
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す、すごい!(語りすぎたらすいません)
あーこれは七夕なんだなと分かる事を最後に書いていたのと、題名のセンス、最後の「沢山の星に願いを込めながら」という言葉などが個人的にめちゃくちゃ印象に残りました。めろろんさんの書き方,言葉の厳選力が好みです!