思い出の海(泣かせに来てます。)
屋上まで息を切らしながら走ってきた私は、「やっと逃げられた」と安堵する。 やっとこの世界から逃げられた。そんな私を褒めるように、風が私を包み込む。 私の最期には惜しいほど、美しい景色だった。 「どうしたの?こんなところで。」 「…ッ!!」 人の声が聞こえた瞬間、私は絶望した。私と同じくらいの男の子。この学校の制服を着ているから、 同じ高校生だと言うことが一目でわかる。 私を止めるのかと思ったけど、この人はやけに落ち着いている。 こんなところにいると言うことは、この人も私と同じなのかと勝手に推測した。 「…この世界から逃げようと思って。あなたこそ、こんなところで何してるの?」 「うーん、なんて言うか…君のことずっと待ってたんだよ。」 「…?私がここにくるってこと知ってたの?じゃあなんで止めないの?」 「君がどうするかも、ずっと待っとく。」 変わった人。流石に人の目の前でさよならするのも嫌だから、 もう少しだけこの人と話をしておこう。 「君はここから逃げ出したいんだっけ?だったらもっと人目につかない場所に行こうよ。」 「…そうだね。」 「海へ行こうよ。見せたいものがあるんだ。」 私はこの男の子と学校を出て、駅へ向かった。 行く先は遠い、遠い街だった。どうせ最期に使うお金だったので、惜しまずに切符を買う。 ガタン、ゴトンと電車が走る音がする。電車には全く人が乗っていないから、それ以外の音はしなかった。 やがて電車を降りて駅から出ると、視界に人がる街からは懐かしい匂いがした。 人通りの少ない街を二人で歩いて行った先には、大きな、広い海が水面を光らせて私たちを出迎えた。 潮の風を全身で感じる。鳥肌が立つほど、美しい海だ。 男の子が貝殻を私に差し出す。 「これが見せたかったものなんだ。君が、あの日僕にくれたもの。」 ドクン。と胸が鳴った。そうだ、そうだった。この男の子は、私が5歳の時に会っている。 でもなんで?この男の子は、溺れた私を助けるために、この海で亡くなっているはずだ。 「君がこの海で消えようとしていた僕にこれをくれたおかげで、 初めて人を好きになれた。生きたいって、思えたんだよ。」 涙が溢れた。 「私もッ、あなたのことが好き!!」 男の子を抱きしめようとしたけど、触れられなかった。この男の子は、もういないのだから。 「君に会えてよかった。僕はもう帰らないといけないんだ。じゃあね。」 そう言って、男の子が波を打つ海の中へ入っていく。 「待って!!今だけは…二人だから!!」 私が男の子を引き留めると、涙を流して笑いかけた。 触れられない体をもう一度抱きしめた私たちを、風が包み込む。やっと会えたんだ。いつまでも、こうしていたい。 目が覚めた頃には、学校の屋上にいた。どうやら疲れて寝ていたらしい。 だけどもう少しだけこの世界にいたいと思った。勇気を出して、教室に戻る。ポケットの中の貝がらを握りしめて。 辛口×で。
みんなの答え
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ぽろぽろ .
ち-す. みやび だみ(._.) … せつない かんじに . グサ っと 来ました … 5歳の頃に あったこと あることを おもいだした . し-ん で 涙目 でした … … ばいみ.
もう感動・・・・ウルウル
泣きそうになった!! ダメ出しなしです! 完璧すぎる! 最後の「ポケットの中の貝がらを握りしめて。」の 一言で感動しました!