【短編小説】椿に恋した話
片田舎の丘の上、椿の木と木造の家、そして十一月の陽が少年を見下ろす。少年は寒さを振り払うように歩く。十五歳になる彼の名は綾北椿。彼は自分が木の世話を任されていることが嫌だった。 椿は丘を登り始め、もうすぐで家に着く、そんな時にあることに気づく。 「誰かいる?」 家の隣の木の裏に小さな人影がある。 「誰だ。何してる」 呼びかけると、木の後ろから着物姿の少女が顔を覗かせた。少女は恥ずかしげで、焦った様子だった。彼女は途端に口を開く。 「ごめんなさい!怪しい者では…」 「じゃあ何してたんだよ。てか何者…?」 「私はあか…殿山紅。年は十四、北の森に住んでて… さっきは花を勝手に摘んじゃってごめんなさい」 「とのやまあか?聞いたことない名前だな」 「体が弱くて学校に通えないの…」 「…そうか、病気とかか…?僕は綾北つ…綾北だ。そこの家に住んでる」 椿は自分の下の名前を言おうとしてやめた。紅は少し首を傾げると、 「椿くん…」 と言った。椿はぎょっとした。 「なんで知って…?」「な、なんとなく」 二人は口ごもる。 「と、とりあえず木と花の話だけど…別に何してもいいから。ほぼ放置してるし」 少女は顔をぱっと上げて言った。 「なら私がお世話する!あんな立派な木…勿体無いもの!私、家にいても暇なの。だから!」 「は…?」 なんてこった。でもこれはチャンス…? 「別にいいけど誰かに見られて誤解されるのは勘弁しろよ、世話してくれんのはありがたいし」 「わかったわ!なるべく見られないよう約束するね」 「親は遅くまで帰ってこないんだ。大丈夫とは思うけどね」 椿は最初こそ戸惑ったものの、木の世話がなくなるという希望を見出した。 椿は紅に木の所有権を譲り、暇な時はお茶しようと誘った。紅は快く承諾してくれた。 だが椿は違和感を感じていた。この時代に着物を着ている時点でおかしいし、紅の住む北の森はこの丘からだいたい4km離れている。体が弱い紅が歩ける距離なのか? それに、話の展開が早すぎる。初対面の異性に木の世話を代わる、なんて… 最大の謎は下の名前を当てたことだ。つ、までは言いかけたがそこから当てるのは難しいだろう。考えすぎなのだろうか… 出会いから三年半が経過した、五月、新緑の季節。 二人の仲は深まっていた。紅の話を聞くのが、椿は楽しかったのだ。椿は紅を一番の親友だと思っていた。しかし今日はいつもと違い、紅に呼び出されていた。木の前には紅が立っていたが顔が険しい。 「呼び出してごめん。伝えたいことがあって…」椿は察した。 「その…会った時から私は…椿くんに一目惚れしていました!」 困った。実に困った。紅はそんなのじゃなくて、親友なのに… 「えぇ…!?」 「で、でも伝えるだけで良かったの…」 椿は困り顔になる。紅は赤面する。 「…っ」終わった恋を噛み締める。 「僕は、紅はそんな仲じゃなくて親友だと思ってる…それじゃダメなのか?」 「ダメなの」 「…」 「私は人じゃないからダメなの。私は十八になったら消えてしまう…」 椿は予想と全く反する告白に驚いた。 「な、何言って…」 「本当のことを言うね。私はこの椿の花の精。椿くんを生まれた時から知ってる…そしてその時から好きだった。でも人と違って花は十八で枯れると決まってる。だから枯れる前にどうしても想いを伝えたくて…!信じられないよね、でも本当だから…正体も、想いも」 「そんなに昔から…でも紅は消…」 三年半前の出会いは計画されたものだったということだったのか…あの日感じた違和感の辻褄が合っていく。 「いいの。あなたの記憶の中にいれるだけで私は幸せ」紅は微笑んだ。 それから二人は何もなかったかのように過ごした。最後の日もそうだった。 一番最後に、紅は振り向いて言った。 「ずっと愛してる」 椿は呟く。 「絶対に忘れないよ」 三年後、紅が消えた年に町を離れた椿は帰ってきた。彼は椿の木の前に立ち、思った。あれから何度も考えたがやはり、紅は「ともだち」だ。親友だ。想いに応えることはできない。 でも彼女を忘れることもない。 ごめんな、と呟いた彼の前に真っ赤な椿の花が舞った。 「いいんだよ、おかえりなさい」 椿の耳に、そんな声が聞こえた。 エタ川です完読感謝!感想もぜひ書いていってください!タメ年下辛口短文長文なんでもアリです、お願いします!
みんなの答え
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うわぁっ感動…
こんにちは! ちぅなんだな)^o^( うわ. めちゃ感動… 二人ともやさしぃし 綺麗な? 片思いだなって おもった てか消えたの悲しい… ちぅにも 精いるかなぁ いや. ちょとまて 気づいたんだけど 最後の 男の子(かんじ読めない) じゅ-はちさい? じゅ-はちねんで 紅ちゃん 消えるんだったら そ-ゆ-ことやね?笑 あぁ. なんか楽しい これからも書いて! せんすあるよ! ではこんくらいで ばいばいするね! じゃあね-)^o^(