奏でよう
歌なんて嫌いだ。 お父さんを傷つけて。お母さんを傷つけて。 本当に、最低だ。 ____宇田遥(うたはるか)、13歳。歌手活動を続けて7年。 お父さんとお母さんが人気歌手だったため、影響を受けて6歳の時にデビューした。 だが今年中学校に入ったため仕事をするのが難しく、活動休止中だ。 まぁ、活動休止した理由はそれだけじゃないけど… …10歳の時、学校から帰ったら母が倒れていた。次の日、仕事から帰ってきた父も倒れた。 ふたりとも、ストレスで倒れてしまったのだ。 お父さんとお母さんが倒れた理由になっている歌うこと。そんな歌が嫌いだ。 …って、思いたい。 なーんて語っている間に、2限目終了。3限目は…音楽。 音楽の時は必ずサボる。歌なんて習いたくない。 屋上に行く。随分自然の多い学校のため、車の音などもなく、静かだ。 …でも、なぜだろう。どこからかギターの音がする。 このリズムは…ああ、あの曲か。 ギターなのに、弾むような音。元気なリズム。 ああ、歌は嫌いなのに。 ふいに歌いたくなって、目を閉じてギターの音色に集中する。 そうして、口を開いて歌い出した。 「ーーーーー♪」 …なんでだろう。なんか、すごく、 楽しい! 「♪ーーーーー~!」 …歌い終えて。拍手と一緒に、ほわんとした声が話しかけてきた。 「きみ、すごいねぇ。歌う仕事とかしてるのぉ?」 振り向くと、そこにいたのは。 「…えっえ、聞いてたの!?」 「そりゃあ、ギター弾いてたのぼくだもん」 なんだっけ。確か同じクラスの奏透(そうすけ)くん。 ギターやってるんだなぁ。…いや、それより 「…私のこと、知らないの…?」 だって私は、デビュー直後「遥かな声のある歌姫」と言われてテレビにもたくさん出た。 「へぇ?なんのことぉ?」 「……」 …本当に、知らないんだ。 「きみの歌声、普段歌わないのがもったいないくらい綺麗だね」 …綺麗、か。現役の時にたくさん言われた言葉。 「どうせお世辞でしょ。私は1人で歌いたいの。どこか行って」 「…わかった。じゃあ… 扉の裏で、ギター弾いてるから」 …え? 「ぼくね。きみと音を奏でるのがたのしかった。だからもう一回やらせて」 そんな彼から、ほんのりとした優しさを感じた。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
いい…
水野Mと申します。 え…すごくいいですね。 歌が嫌いだったのにだんだん好きになっていくっていうところがいいと思います。 短文でゴメンヨです。
いいお話!
チャオ!ハッピー★チェリーだよ♪侍ジャパンさんを憧れてまーす♪ 題名も小説の内容もバッチリ!!とってもすごく上出来だね!