あの頃の優しさに―。
とある田舎町で、僕は生まれた。 大好きなママとパパ、憧れの兄、かわいい妹、 そして僕。 生まれてから、大変でも幸せな時間を家族皆で過ごした。 時に皆で釣りに行って大物を捕まえて、 時に喧嘩して。 「~は私の自慢の子よ」 そう言ってママは笑ったね。 そんな日常が、好きだった。 壊れた、そんな日常が。 僕達の住む一帯が誰かに荒らされ、僕達はその地を離れることとなった。 その際、 僕ははぐれた。 ここはどこ? 皆はどこ? 僕はどうすればいい? 暗闇の中、ぼろぼろの足を必死に動かす。 ここ数日間、何も食事をとってない。 …皆と、こんな形でお別れするなんて… 誰か、誰か助けて… 「――あ、目開けた!」 「よかった~」 知らない人の声。 知らない家。 僕は、拾われたようだ。 検査をした結果、異状は無かった為、 僕はその家で居候することになった。 母、父、長女と次女と長男の家族構成であるその家は、 僕のことを可愛がってくれた。 ご飯をくれた。 温かい布団に入れてくれた。 叱ってくれた。 …大切な家族を失ったことは、今も忘れない。 でもこれからは、新しい家族の皆と、 幸せを掴んでいくんだ―。 数年が経った。 雨の中。 僕は、 段ボールの中でただ、声を上げるしかできなかった。 その家の母は言う。 「餌代かかりすぎ。養い切れない」と。 父は言う。 「なつかないから用無し」と。 長女は言う。 「噛んだりするからムカつく」と。 次女は言う。 「最初の方が可愛かった。今は全然可愛くない」と。 長男は言う。 「ひげや尻尾を引っ張れば、遊び道具になる」と。 そして最後に、 「ごめんね」と。 どうしてどうしてどうして? ごめんねを言えるなら、その資格があるなら、 何で心の底から大事にしてくれなかったの? 程なくして、僕は保健所に入れられた。 でも、 奇跡は起こらない。 誰も里親を名乗り出ない。 僕を見て、醜い姿と罵るだけ。 半年が経った。 次々と他の仲間が、怪しい部屋に入れられていく。 そしてそのまま戻らない。 そして、それは僕も例外じゃない。 「自慢の子」 そう言ってくれたママのように、 あの頃の優しさに触れたい。 『次は、僕の番だ』
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
ペットとは思えんかった
まさかの結末でした、 犬?か猫?なのかな? どっちにしても、ペットを飼っている全ての人に読んでもらいたい小説です! 私は飼ってないけど、ペットを飼うってことは最後まで養う責任が伴うんだよってことを 知っておくのが大事ですよね…
ぅぅ、天才
読ませてもらいました。 「僕」は犬だったんだ…。なんか、切ないですね。 捨てられるペットの辛さがよーく書けていて凄いなと思いました。
わー最高傑作じゃね(・・?
やっはろー。どうもこんにちは。元イチゴマシュマロの千花だよん!ちーちゃんって気軽に呼んでね!短文かもしれません。 ☆*: .。. o(≧▽≦)o .。.:*☆本題☆*: .。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ すごい!傑作だよ!天才じゃん!「僕」は家族と生き別れたが、知らない家族に拾ってもらった。でも、後々捨てられ、この先を見据えている。何という素晴らしさ。ちょっと悲しいけど、この切なさがまたこの物語を引き立てるね。もう一回いや百回一万回もっともっと読みたいなぁ。愛をこめて千花より。またきずなんで会いましょう!