先輩
夏祭り。それは混んでいて、出店の食べ物を食べれるのかどうかも怪しいイベント。 下手すればただその辺をうろちょろするだけの無駄な時間になってしまう、そんな催しだ。 「5分遅刻。」「すっ、すみません。」 オレより一回り小さくて、暗くてもよく見える白い肌と黒髪を高く二つに結ったツインテール。 知り合いでも何でもなければ、多分オレは兄でこの人は妹…に見えると思う。 そんな、年齢と容姿が釣り合わない明日海"先輩"とオレは、奇しくも夏祭りの時間を共にすることになった。 部活が同じ水泳部だと言うぐらいでしか共通点は無くて、逆に仲が険悪だというのに、何で先輩とオレが夏祭りなんかに……。 現状、明日海先輩はオレなんか元々存在しなかったみたいにエナドリをちびちび飲みながら、目的地へと進んでいる。 ――オレ、何してんだろな。元々は部長と明日海先輩と後輩とオレで行くつもりだったのに、 部長と後輩がついこの間交際し始めて、『二人きりの時間を過ごしたい』とか 言いやがっ……言って、結果オレと明日海先輩だけになって。3年と1年に挟まれる2年の気持ちも考えてくれ。 「――何なんだろね、あいつら。」「っ、」 珍しく、先輩が自らオレに話を振る。すぐにその話に返事をしたいところだが、 スマホの液晶の光と、先輩の後ろ姿しか見えなくて、今先輩がどんな顔でいるのかが分からない。 もしも怒っていて、そのままオレが変な事を言ったら……どうなるかも考えたくない。 それでも、やはり返事をしないのは逆に先輩の神経を逆撫でる。そう思い、とりあえず無難な返答をしてみる。 「あー、そうですよね。」「……」 あ、まずい。話が途切れた。ヤバい。どうしよう。やられる。存在ごと消される。 陽気な笛の音と、力強く響く太鼓の音と、生命的な危機を感じて爆発しそうなオレの心臓の音。 そして、手を繋いではしゃぐカップルの間をすり抜けていく明日海先輩。 全てがアンバランスで、自分が宇宙に飛ばされていく様な感覚がする。 「……尾崎って水泳部の部長なる気ある?」「えっ?」 初めて名前を呼ばれた。先輩ってオレの苗字覚えてたのか……。 「いやあ、ちょっと僕には責任が重いのでなれないですね。」「聞いてるだけ。」「あ。」 恥ずかしい。恥ずかしすぎる。あああああああ。やばい恥ずかしい。顔からりんご飴出てきそう。 「って、何でいきなりそんな事、」「ほら、だって夏の引退試合終わったら私達引退だし。」 ――そうだった。明日海先輩そういえば3年だったな。もう引退か。 何か清々するような、寂しい様な。別れるのかな、部長と後輩。 「だから今のうちに良さげな2年見つけて立候補させようかなと。」「うわぁ~……」 「いいじゃん、尾崎も可愛い後輩と付き合おう。」「なんか嫌です。」 いつの間にか、先輩はスマホを仕舞って、オレの横で歩いていた。 ……こんな顔で笑うんだ。 「尾崎って年上好き?」「……え?うーん、普通です。」「へぇ。」 屋台が見えてきた。煌びやかに光る神輿と、浴衣を着ていちゃついてるカップルを睨む明日海先輩。 何でオレさっきからこんな先輩の事考えてるんだ? 「何食べたい?」「オレですか?とりあえず……焼きそば?」「焼きそばね。並んでくる。」 そう言って、先輩は人混みの中に走っていった。
みんなの答え
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お話の構成と尾崎の心がよく分かる!
お話の構成というか、人間関係的なのと 尾崎の心情がわかりやすかったです! あと場面一つ一つの情景が想像しやすかった。 読みやすくて「顔からりんご飴出る」っていう表現が面白かったです。 多分尾崎は明日海先輩のこと好きになっていってるのかな? もしかしたら明日海先輩も尾崎のこと意識してるかも…。 とか、想像するの楽しかったです。 なんだか青春って感じで、エモーショナル?でした!
お話の構成と尾崎の心がよく分かる!
お話の構成というか、人間関係的なのと 尾崎の心情がわかりやすかったです! あと場面一つ一つの情景が想像しやすかった。 読みやすくて「顔からりんご飴出る」っていう表現が面白かったです。 多分尾崎は明日海先輩のこと好きになっていってるのかな? もしかしたら明日海先輩も尾崎のこと意識してるかも…。 とか、想像するの楽しかったです。 なんだか青春って感じで、エモーショナル?でした!