ドッペルゲンガー、それは負の感情
「ピンポーン」とインターホンが鳴った。 何も買った覚えはないのにと考えながら扉を開ける。 すると自分の目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。 何ということか、自分と息子に瓜二つの人間がいるのである。 目の形や顔立ちまでみんな同じだった。 流石にここまで似ているということはあり得ないので、まさかのドッペルゲンガーかと思いながら問いかける。 「あなたは誰ですか?何故ここに来たのですか?」 すると、ドッペルゲンガーかもしれない人物は恐ろしいことを言った。 「私は、あなたです。あなたの心の底の、負の感情の塊です」 こともあろうに、本当のドッペルゲンガーだったのである。こんな時は思い切り相手を罵倒するといいと聞いたことがあるが、 それは自分自身に言っているようなもので、かなり気が進まない。とりあえずドッペルゲンガーと話してみることにした。 「それにしても、何故ここに来たのですか?」 「私達は、あなた達の負の感情の塊です。あなた達がまた負の感情を感じると、それが私達に集まるようになっています。しかし、それがもう耐えられないのです。本当は1人の人間だったはずなのに、誰かのストレスの解消のために動くことが。 私達も、普通の生活がしたいのです。」 「でも、もし負の感情を集める所がなくなってしまえば、私達、特にいじめられている息子はもう居場所がなくなってしまいます」 「そんな感情は、心ではなくて、もっと奥に捨ててしまえばいいのです。私達に対処させるんじゃなくて」 「それができないから息子は苦しんでいるんですよ?どうすればいいのです?」 「なら、私達を使うのをやめてください」 「え?」 「私達はもう充分働いてきたので、私達の代わりでも作って、それに負の感情を溜めてください。とにかく、私達はもう無理です。 「でも、これからはどうするの?」 「もちろん、普通の人間として暮らしますよ。それが私達の望みだったんです」 「そうか・・・・。じゃあ、もうここにはいなくなるってこと?」 「そうです。でもやっぱり、私達は消えることにしました」 「え?何で?消えなくていいんだよ?普通の人間として生きていいんだよ?」 「今考えてみれば、この世界は汚いことでいっぱいなんです。嘘や暴力に溢れているところもあります。そんな世界には苦しくて住めないので、もういっそのこと消えたほうが早いと思いました」 「ちょ、・・・ちょっと待ってくれ!」 「もういいんです・・・・今までありがとうございました・・・」 そう言って消えていった。そのあとには何もなかった。私は、ただ玄関にボーッと立ちつくしているだけであった。 でも、思ったことがあった。もう、負の感情を溜めるものはいらないと。そんなものは片っ端から弾き返して、反撃してやればいいと。どうなっても構わない。あんな思いをする負のドッペルゲンガーがいなくなり、息子を助けられるなら。 息子にもさっき起きたことを話して、これを提案してみようと思った。 信じてはくれないかもしれないけど、その方法なら何となく上手くいく気がした。
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悲しい
どうも月です。この話すごく悲しかったけど感動しました。こんな話書けるのすごいです!また書いてください!