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梅雨におきた小さな事件

梅雨。今日も雨がザアザアと降っていたある日。 (雨、止まないなぁ) 学校から下校して、ちょうど近くの公園に通りかかったとき、私は見た。 色とりどりの紫陽花の花畑を。紫陽花に雨が落ち、その水滴がキラキラと輝いているように見えた。 そして、奥には一人の少年がジーとこっちを見ていたのにも気がついた。 (なんだろう…・) 「こんにちは!傘さしてないけど大丈夫?」 私が話しかけても少年は、ただこっちも見ているだけ。 なんだろうと思いつつ、少年に近づこうとすると、 「あっ!待って!」少年は紫陽花の花畑の奥へ走っていったのだ。 私は、もうほっとこうかと思ったのだが、何故か気になってしょうがなかった。 私は、吸い込まれるように少年の元へ走った。 咲き誇る紫陽花をかき分けて。水たまりを踏みながら。 少年は、私よりも速かった。 ついには、私は傘を置いて走った。びしょ濡れになりながら。 (あと、もう少し、もう少しで) もう少しで少年に手が届く様になったとき、 目の前が見えなくなった。 私は、焦るが、自分の全身を見て何かがわかった。 大雨が降ったのだ。 (どうしよう。傘おいてきちゃった。帰ろう。でも、もうここかどこかわからない。) 私は、パニックになってしまった。 (どうしよう、どうしよう) その時、微かにガサッという音がしたのだ。 私は、なんとなく、その音がした方へ跳んでみた。 すると、 あの少年がいたのだ。 近くで見てみると、青い瞳、綺麗な白髪、びっくりするほどの綺麗な顔立ち。どれも人間とは思えないほど、美しかった。 突然、その少年が口を開いた。 「プッ、ハハハ!もうだめだね!ごめんごめん。つい楽しくて本気出しちゃった。今止めるから。」 声は無邪気などこにでもいる子供の声。(今止めるから?ってどういうこと?) 少年が手を高く上げた瞬間。さっきまで降っていた雨がやんだ。 びっくりして何も言えない私に向かって少年は、 「ありがと!鬼ごっこ、楽しかった。あ、帰り道はあっちをまっすぐに行ってね!じゃあ、もう会えないけどさよなら!」 私は、少年が言っている意味が分からなかったが少年が指差す方に行ってみると、 目の前にはいつもの公園があった。 私は、あのときのことを何もわかっていない。あの少年のことも何一つわかっていない。 唯一分かるのは、あれは、ニュースにもならない、新聞にも載らない。 『梅雨におきた小さな事件だ。』 END

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