短編小説みんなの答え:0

蝶の花

「なあつぼみ、あの噂知ってるか?」 「うわさー?なんじゃそれ。」 「こんなど田舎にな、世界に一つしかないっちゅう幻の花…蝶の花があるらしいぞ!」 「ふーん?」 「おい竹ー、それなんの話や?」 竹がつぼみに噂の話をすると、龍心(りゅうしん)後ろから竹の背中を叩いて話に入る。 「おーりゅーしん。幻の花っちゅうやつの話。」 「花なんか、飽きるほど咲いとるよ。」 つぼみが目をキラキラ輝かせる竹に呆れながら言う。 「まあ、探しに行こや!」と竹が言い出し、龍心が賛成する。 やめろと言うのもめんどくさくなったのか、つぼみもついて行くことになった。 「会議や!うち来いよ二人とも!」 と龍心がノリノリで二人に声をかける。 会議といってもただの子供遊びだが。 「私は高2にもなってなにしとんのやろか…」 「おい諸君!この地図を見ろ。」 竹がビシッと決まったセリフを言うが、イントネーションは完全になまっていた。 竹の出した地図には山が六つと、四角い学校が二つほど、それと正方形に三角を乗せただけの絵が描かれてあった。 5歳児が描いたと言われてもおどろかないほどのクオリティだが、この土地の地図としては間違っていない。 ここにはコンビニも本屋もない。 無駄に広く古い家と学校、山くらいだ。 そこを踏まえながら、竹は考えた。 「このど田舎にそんなたいそうな花があるとしたら山くらいや。山に行こ!」 「ほう。やるやん。」と龍心とつぼみが声を合わせる。 そして3人は早速山に登ることにした。 つぼみがハッとして二人に聞く。 「っていうかどの山にさいとんのかも分からんよ?」 不意に聞かれて二人も「うーん?」と首を横に倒す。 龍心がヤケクソになって、 「ええい!全部の山登ろや!」 と言った。 つぼみはその言葉で初めて、この冒険が過酷すぎるものだと知った__ 一つ目の山に登る。 「っていうか蝶の花ってどんな花?」 「蝶の花っちゅうのはな、花が開くと蝶がパタパタパターって!飛ぶらしいねん!」 「ぐえー!スッゲェ!!魔法じゃ!」 竹の本当かどうかもわからない噂に、龍心は子供のように目を輝かせた。 一つ目の山をいくら探しても、蝶の花は見つからなかった。 次も二つ目、三つ目、四つ目の山を登ったが、それらしきものは見つからない。 「はあ…はあ…ふらひとも(二人とも)…もうらめえんか(もうやめへんか)?」 つぼみが息を切らしながら喋りかける。 「へー…へー…まだ…まだいけんぞ…」 「ひー…ひー…まだまだ…」 二人とも息を切らしているが、持ち前の頑固さでなんとか耐えていた。 すると、おかしな色をした鳥が…喋りかけた。 『あなたたち…蝶の花を探しているのですね』 竹と龍心はうおお!とびっくりしたが、つぼみだけ、あからさまに顔から血の気が引いていた。 「お…お母様…」 つぼみがそう言ったので、竹と龍心は「お前鳥だったのか!?」とびっくりする。 『つぼみ。あなたは咲くことのできないまま、ここで朽ちます。』 「あ…あ…」 おかしな鳥が羽ばたいた瞬間、つぼみはバタッと倒れた。 「おいつぼみ!どうした!!」 二人がつぼみに駆け寄る。 つぼみは動かなくなった。 「つぼみ…つぼみ!!」 二人の涙が落ちた時。 つぼみの体に異変が起こった。 つぼみの背中に大きな蝶の羽が、花のように咲いた。 みるみるとつぼみは、女神のような美しい姿になっていく。 「竹、龍心、ありがとう。二人のおかげよ。黙っててごめん。 蝶の花は、私のこと。二人といる間、本当に楽しかった。」 つぼみはそう言って、大きな美しい羽で羽ばたいた。 「…じゃあな!また来いよ!」 別れがさみしいのか、二人は情けなく涙を流したまま手を振った。 __蝶の花は、またどこかに咲く。

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