もう君で染められている
「ひなみ、あーん」 差し出されたスプーンをぱくっとくわえる。 舌の上で溶けるバニラアイスの冷たさに、冷やされる。 そしてー 「ふふっ、おいしい?」 横でささやく彼女の甘い声に、溶かされる。 彼女ーはるこは、同じ写真部で唯一の同級生。 中1、部活に入ってからずっと仲良くしている友達だ。 今は中3、部活のトップ。今日は部活はないけど部室に来て、 売店で買ったアイスを2人きりで味わっている。 「ねえねえ、さっき撮ったアイスの写真見せて。 どっちが盛れてるかなー?」 「ん、いいよ」 「ちょっと、口もと、ついてるよ」 私が気づくよりも速く、彼女の細い手が伸びてきてー 唇のアイスを、指ですっとぬぐってくれる。 彼女との時間は楽しい。特に写真を見せ合うのが好きだ。 写真部の目標は、フォトコンテスト。 実は、私たちは入賞したことがある! 中1の時ははるこの写真(あめ玉)、中2は私の写真(クッキー)。 なぜかお菓子縛り。今年はこのアイスの写真を出そうかな。 「今年も賞とれるといいね」 私が言うと、彼女は 「もちろんそのつもり。今年は私たち2人一緒にね」 と返してくれた。 コンテストの締め切りは8月31日、夏休みの終わりだ。 この瞬間がずっと続けばいいのに。 夏休みの終わりなんて、考えたくない。 だって夏が終われば、受験が間近。 勉強しなければいけないのが嫌だけど、それよりもー 「どうしたの?ひなみ、あんま元気なさそう。」 はっと、我に返る。 「だって…嫌だ、受験。だって…はること私、違う」 つい口に出してしまった。 あなたと離ればなれになるのが嫌、とは言わなかったけれど。 私とはるこは、目指している高校が違う。 この間、彼女の口から聞いたばかりだ。 もうこれが彼女との最後の夏休みで、 中学を卒業してしまえば会えないなんて… 辛いけど、考えないでいよう。まだ8月前半。 今は少しでも楽しいことを… 顔を上げようとしたその時。 彼女に腕を掴まれた。そして部室の外へ連れ出される。 早足で廊下を進み、階段を降り、 おじいちゃん担任に変な目を向けられるのを横目で見て、 上履きのまま校舎の外へ。 そのまま彼女に引かれて着いた先は、 校舎裏の影になっている小さな庭だった。 「…言わないつもりだったけど」 私が色々聞くよりも先に、彼女は言った。 「私、ひなみと同じ高校受ける。」 「…え、な、な」 「だから」 つないでいる手がより強く握られ、 瞬く間にーー抱きしめられていた。 「そんなに落ち込まないで」 不思議なほど、心が落ち着いていく。 足元の小さな白い花びらが、風で揺れている。 …こんなの、いつものことなのに。 別に、ちょっと一喜一憂しただけで…。 そんなにされたら…心が、染まっていきそうー 「な、なんで?高校、違うんじゃ、」 「あんたと一緒じゃないなんて無理」 一緒にいるため…? 別れるのが嫌って、同じことを思っていた…? 少し照れてきた。嬉しいかも、なんて。 「べ、勉強はしてるの?去年のテストで20点だったような」 「うっうるさい!新学期のテストで見せつけてやるから 見ててよね」 思わずからかったら怒られた。いつもの私たちだな。 「負けないから、私も。勝負ね」 さっきのアイスの冷たさなんてどっか行って、 力が湧いてきた。 受験へ向かって、もう一歩。 来年もこうして一緒に笑い合うために。
みんなの答え
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すっごい!
本当にすごいです!爽やかでこれからへの期待が詰まっていて…青春がすこくて…本当にすごいです…尊敬します!本当に面白かったです!ありがとうございました!!!!! 失礼しました!
天才すぎ・・・!
どうも!こんばんにちは!むぎだよ! え?君の頭の中には何が詰まっているんだ?・・・でも、すごい!その才能私に半分分けてほしいくらい!((何言ってんねん そんじゃ今回はここまで!またどっかで会おうね!じゃあのー!
めちゃくちゃ凄い!!
こんちゃっ(^^♪花凜です(#^.^#) ☆*: .。. o本題o .。.:*☆ めちゃくちゃ凄い!! 読んでくれてありがとう(*'ω'*)ばいちゃっ(^^♪