ね、見て。月が綺麗。
「ね、…月が綺麗だね」 必死に紡いだ言葉は夜の闇にとけた。 月明かりに照らされたあなたは息をのむほど綺麗で彼の目にも同じように私がうつっていてほしいと、ひそかに祈る。 「だな。やっぱ東京で見るより星もきれいだよなぁ」 そう笑うあなたに、ずきん、と胸が痛む。 こぼれそうになる涙を見られたくなくて、私はその場から逃げ出した。 高校3年生の修学旅行の夜。 私は、好きな人に想いを告げた。 とはいえ、それは有名な夏目漱石さんのあの言葉ではあったけど。 伝わってほしかったのか、伝えたくなかったのか、私自身にもよくわからない。 ただ、伝えたいものの勇気が出ず、その言葉を選んだ。 告白する勇気もない私への神様の戒めなのか、当然のように彼はその言葉に込められた想いを知らなかった。 あのあと私は彼のことを見ることができず、仲の良かったはずの私たちは話すこともなくなり、卒業とともに連絡も取らなくなった。 「え…」 思わず声がこぼれる。 人ごみの中に君がいた気がした。 「気のせい、か」 高校の頃好きだった彼女とは、卒業とともに連絡を取らなくなった。 向こうは俺のことをただの友だちと認識していただろうが、卒業式で想いを伝えるつもりだった。 それも、修学旅行のあと避けられるようになり、振られるのを恐れた俺は、何も伝えられず終わった。 「お、月が綺麗だな」 大学でできた友だちと街を歩いていた時に見えた月に何気なしにつぶやいた言葉。 「えー、なに、告白?ロマンチックだねぇ」 ふざけたように腕に絡みついてくる女友達を引きはがす。 「や、なんで告白になんの」 「え、知らないの?!『月が綺麗ですね』」 信じられないようにこちらを見る女友達を適当にあしらい、男友達のほうに逃げる。 家に帰ってからなんとなく気になり、検索をする。 「へぇ、夏目漱石」 I love youという意味をも兼ね備えるらしいこの言葉に思わず声が漏れる。 「告白、か」 ぽつりとつぶやく。 脳裏に浮かんだのは高校の頃の好きだった人。 「―え」 『ね、…月が綺麗だね』 彼女の震える声が耳の奥で響く。 自意識過剰、じゃないよな。 彼女は本が好きで、おまけにそういうのも好きだった。 じゃあ、あの言葉に込められた彼女の想いは… 「月宮!」 彼女の大学近くで、やっと見つけた彼女を大声で呼ぶ。 誰もいない公園にたたずむ彼女は高校の頃と同じように綺麗だった。 「空野くん…?」 瞳を大きく見開く彼女のもとに駆け寄る。 「月が、綺麗だな」 「え…」 彼女の真っ白な肌が桜色に染まる。 「今、お昼だから月は見えないでしょ」 唇を尖らせる彼女に笑みが漏れる。 それに、そうだな。 これは夏目漱石のI love youだ。 誰かの受け売りはよくないかもな。 「月宮が好きです。高校の頃から、ずっと好きだった。俺と、付き合ってくれませんか」 「…うんっ」 教会に響く鐘の音。 白いドレスに身を包む彼女は、何よりも綺麗だ。 「それでは、誓いのキスを―」 彼女の薬指には、俺とおそろいの指輪が光っている。 病める時も、健やかなるときも。 富める時も、貧しき時も。 あなたとみる世界は、いつだって美しい。 -END- こんにちは、金木犀/kinmokusei*です。 最後まで読んでくれてありがとうございました! 感想・アドバイスおねがいします!
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めっちゃキュンキュンしたぁ//
こんちゃっ(^^♪花凜です(#^.^#) 【本題】 めっちゃキュンキュンしたぁ// 読んでくれてありがとう(*'ω'*)ばいちゃっ(^^♪