短編小説みんなの答え:0

同情

夏休みの作文コンクール。 僕はジェンダーについて書き、ついでに自分の心の性別や恋愛対象をカミングアウトした。 親も、先生も、クラスのみんなも、割と受け入れてくれた。 親は新しい制服を買ってくれた。 特に服装についてはあまり気にしてはいなかったが、せっかく買ってくれたのだから、着る事にした。 先生は、男女どちらも使える障害者用のトイレを使ってもいいと言ってくれた。 今の体はこれだからと、この事もあまり気にしていなかったが、なんだか使わないのも申し訳ないので使用した。 友達のほとんどが少し僕に対して気遣うようになった。 また、話した事ない人や異性の人もよく話しかけてくるようになった。 「体と心の性別が一致してればよかったのにね」 「何か変な事言われたら教えて」 「ちゃん付けの方がいいのか?」 そう心配してくる人もいれば、 「もしかしたらそういう目で俺たちの事見てたのかもよ」 「本人には悪いけど、私はちょっと無理だなー」 と言って、離れる人もいた。 なんだか僕の扱いが変わった。僕が僕じゃないみたいだ。 カミングアウトなんてしなければよかったかな。 放課後、クラスメイトとの買い物の誘いを断って1人で帰っていると、美術部仲間のケイがいた。 「なんで居んの・・・」 「お前の家行っていい?コンクールの下書きできてなくてさぁ、教えてほしいんだけど。最近お前人気者かなんかになったのか人めっちゃいて話しかけられなかったんだよね」 「母さんになんか言われそう。嫌だ。自分の家で1人寂しくやってろ」 「俺何回かお前の家行った事あるのに?」 「・・・ケイは何も思わないわけ?」 「いや、何が?」 「性別とかさ。僕、体は男だけど心は女の部分もあるし、恋愛対象に男も入るんだよ?」 「いや、今更何言ってんの?お前自体はカミングアウトする前と後で変わってないんだからさ、俺は何も気遣いとかはしないね。そもそもお前、俺の事タイプじゃないだろ」 「・・・そうだね。あんたみたいな奴は論外だわ」 「辛辣すぎる。んで教えてよ。このままだと顧問に叱られる。この借りは絶対返すから!」 頼む!と手を合わせるケイが、なんだかいつもより少しかっこよく見えた。

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