もうひとりの主人公
きっと、知らず知らずのうちにみんな気づいていた。主人公はあの子で、私達はあの子を助けて、外の世界へ出さなければならないということに。 私達の命の価値は、長さと反比例だ。 正義なんてものは、元からこの世に存在しなかった。 ここへ来たら、生まれながらに最後は皆、死刑だ。 どうせ、ここには希望なんてない。自分ひとりも救えない。それなのに、もがいて、もがいて、必死で生きなければならない。いつの間にか、私達は迷子だった。 揃ったはずのピースはきれいにはまりきらなくて、笑う暇さえ、貰えない。 でも、それでも、彼女に私達を裁く理由はない。 「貴方は、何をしましたか。」 「自殺志願者を殺しました。罪のない命を、『救い』ました。」 神の救いなんて、いらない。そんなもの、必要ない。 「貴方は、何をしましたか。」 「永遠ではない世界をつくりました。」 本当に、そうだったかなんてわからない。わかりたくない。 「では、最後に。 貴方が生きた意味は、何ですか。」 「さあ? ……あると、いいですね。」 私には、光が見えなかった。 誰かに、生きる意味を作ってほしかった。 死んで、しまったのだろう。 けれど、あのときの心の高揚感を、あのときだけ顔に浮かんだ笑顔を、忘れることはできない。 星がよく見える、綺麗な夜だった。 確かに、未来が見えた。あと少しで、『主人公』ではない私達でも、笑える世界が掴めた。 あとは、皆がやってくれる。 この物語は、私が死んでも進み続ける。 あのとき、わかったんだ。 全員が、『もうひとりの主人公』として生きてもいいと。きっと、それが、人生だ。 さよなら。 ありがとう。 私は、幸せでした。 来世でもどうか、よろしくお願いしますね。 next──
みんなの答え
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すごかったです!
こんにちは。 言葉遣いが凄すぎて、感動しました! その人の心情がよく書かれて読みやすかったし、感情移入(?)もできました! next──って書いてあるのも好きです!