描けない。
いつだろう、私が絵を描けなくなったのは。 私は夕暮 咲(ゆうぐれ さき 絵を描くのが好きだった。自分で言うのもなんだが、きっと同じ年齢の中では上手い部類に入るだろう。 中学生のとき、友達に絵を見せたらネットに絵を投稿することを勧められた。 ネットでの名前は暮崎 優(くれさき ゆう 投稿を始めてから2ヶ月ほどで結構な人気がでて、依頼も来るようになった。 そこからだった。私を見失ったのは。 私は高校生になった。 光莉 藍(ひかり あい この子が、私の心を動かしたのだ。 「初めまして。光莉藍って言います、よろしくね!」 優しそうだ。 「夕暮咲です。よろしく」 「夕暮さんってなんか絵が上手そうだね!」 …この子は唐突に何を言っているのだろう。まあ、昔のことを話す気はない。 「私ね、絵を見るの大好きなんだー! 私のおすすめの絵師さんは暮崎優さんって人なんだよ!」 私の名前だ。見ていたんだろうか。 「暮崎さんの絵を見たとき、ビビッときたの!この人はすごい人だって! だけど、依頼の絵を描き始めたあたりから なんか暮崎さんっぽい絵じゃなくなっちゃって… 最近は投稿も全然ないんだ…」 そうか。ちゃんとわかってくれている人もいたのか…この子になら…! 「あのさ、信じないかもだけど、私が暮崎優なんだ」 「えっ、本当!?」 「うん。私の話、聞いてくれるかな」 昔は、依頼に少し憧れていた。けど、今まで私は自分の描きたい絵しか描いてこなかった。 自分の描きたい絵とみんなが求めている絵は、少し違うって気づいてしまった。 依頼で描いた絵は良いって言ってもらえなかった。ちゃんとやり遂げられない自分がみじめだった。 だから、人気のある絵を研究して、みんなに良いって言ってほしかった。 それから、依頼は上手くいったけど一つだけ気になっていた。 ___楽しくない。 だから私は絵をやめた。自分の描きたい絵が描けなくなったから。絵そのものが描けなくなったから。 「ごめんね。こんな話しちゃって。聞いてくれてありがとう」 「ううん、むしろ聞けてよかった!ありがとう! 良かったら、私の絵を見てほしいな」 そう言って一枚の紙を取り出した。 「どう、かな…」 その絵は、あの頃の私と同じだった。 楽しいっていう気持ちがめいいっぱい絵に詰め込まれていた。 「良い。すごく良いよ」 また、絵を描けるかもしれないな。 【作者より】 読んでいただきありがとうございます。 フィクションです。 誤字脱字あったらすみません! 初めて小説を書いたので、良ければ感想を聞きたいです。アドバイスなども歓迎します!!