壊れた彼女は,本当の少女にはキズカナイ
『おはよう』 誰もいない家に声をかける。 『元気ですか』 3年前より古くなった家に,まるで誰かが住んでいるみたいに―――― 『今日はね,転入ッ生・・がぁ・・』 そこまで言った彼女は隣の家のベランダに手を伸ばす。 ・・・3年前までには手を伸ばせば届くベランダに肘をつけながら笑顔で答えてくれた少女がいた。 「うん,おはよう!」 「・・元気,だよ―――は?」 「いいなぁ,今度一緒に行こ?」 そう,言ってくれた少女はもういない。 『ぁ・・まッた,ねぇ・・?』 彼女は,また少女が生きていない,ということを思い出し,またね,と呟く。 そして,また少女が生きていると思い,隣の家に話しかける。 そんな彼女の後ろには 「私,っは・・こっち・・だよッ?」 今日も,透明な少女がいた。 『元気ですか』 「元気,だよ・・私は」 『でね,今日はプールにいくんだ』 「・・そうなんっだぁ私はこっ」 『病気が治ったら一緒に行こうね!結華』 「・・・私,結・・華はっここに・・いる,よ・・結奈」 ――――今日も彼女は隣の家に話しかけ,透明な少女は壊れてしまった彼女に必死に話しかける―――――――――