地獄
「この海はきっと私を受け入れてくれる。」 大学3年生の佐々木彩花はそう思った。 見下ろすと、夜の海はどす黒く渦巻いていた。 まるで、暗黒な世界への道のようだった。 私にお似合い。そう感じた。 意識が戻るとそこはインクで塗ったような 真っ暗な所だった。 「!」 声が出なかった。 体が動かない。音も聞こえない。一筋の光すらない。 それでも意識はある。 脳だけ正常に機能しているみたいに。 叫びたい、泣きたい、会いたい、ここはどこなの? 助けて、助けて、助けて! この世界から出るには 神様に頂いた大切なものを自ら捨てた罪を償わなければならない。 だが、彼女がこのことを知るのはずっとずっと先のことである。 完