嘘つき
「嘘つき」 嘘つき それくらいわかってる 私は嘘つきだ。 私の名前は香月花純。私は嘘つきだ。 「今日空いてるから行くね」「何もしてないよ」「恋愛なんか今はいいよ」──いくつ嘘をついただろうか。わからない。 私は嘘を付きすぎたせいでいじめを受けることになった。 主犯は特に仲も良くなく、嘘をついたのも冗談で済むような事だった。 主犯の名は藍田唯歌。いじめの内容は陰口、悪口、落書き、ネットいじめ、噂、無視…暴力はないけど、暴力以上に傷ついたことばかりだ。 もう二度と、花純と名前を呼んでくれる人はいなくなった。 母も父も姉も弟も妹も… いじめに加担したように、愛を受け取れる人がいなくなった。 毎日、電車に乗って、学校について、適当に授業を受けて、いじめを受けて、ご飯を食べて、また授業を受けて、電車に乗って… もう毎日がつかれた。 18歳になった日、家を出ていった。 大学にも行かず、何気なく会社員になって、一日を過ごしていた。 知り合いに芸能界に入って大成功した人がいた。 今になっても、花純と呼んでくれる人はいない。 名前を呼ばれても香月さん、香月…、苗字ばかり。 普通に生活もできていた。だけどなにかが足りなかった。 20歳になって、初めて花純と呼んでくれる友人ができた。 名前は葉月琴音。 愛想もない私に花純、と呼んでくれる人。 大嫌いで大好きな人。 相談に乗ってくれる優しい人。 琴音を心から愛していた。もう嘘なんかつかないと決めた。 初めてできた友達って、こんなにも幸せなんだ。 そのうち、ママとパパとも話をしてみようかな。 姉の菜摘は、彼氏と幸せになっただろうか。弟の朔斗は、大学に行けているだろうか。妹の斗亜は、アイドルやれているのだろうか。この前メジャーデビューしたからね。 琴音が、私を変えたなんて。 私が一人の女性に変えられるなんて。 今辛いあなただって、きっと変われる。 嘘から始まった人生はきっと真実で終わる。 花純は、そう思って生きているのだ。