あしたのあなた
「今のあなたはここにいるよね。じゃあ、明日のあなたはどこにいるの?」 そんなふうに、あの子に訊かれた。今の自分はもちろんここにいるけど、明日の自分?どういう意味かわからなかった。考えた。考えた。びっくりするほど考えたけど、自分の頭では考えつかなかった。だから、今日は眠らずに、明日の自分を待ってみることにした。 夜、0時を回った頃、背中がなんだかムズムズしてきた。なんだかわかんなかったから、鏡の前に立ってみた。背中の方からムクムクと何かが伸びてきた。何だ?と思うまもなくそれは自分と全くおなじになり、握手を求めてきた。思わず握り返すとそれの中に吸い込まれて、あ、と思ったときには自分はいなくなり、そしてまた新しい自分になった。 「おはよう。」 またあの子が声をかけてきた。あの子に話しかけてみた。 「ねぇ、昨日の話だけど。確かめてみたよ。」 「え?わざわざ確かめたの?なんで?」 昨日の自分は昨日の自分。明日の自分は明日の自分。じゃあ今の自分は?何処かへ行ってしまっていた。 「だって君、気にしていたじゃない。あのね、一晩中、鏡の前に立ってみて。」 そうすれば、君も僕とおんなじになれるから。