卑怯者。
いつものことだよ。そう、いつものことなんだ。 そう言い聞かせるしかない。 一人でいたら今にも終わってしまいそうで、でも一緒にいてくれる人はいなくて。 涙はこぼさないよ。だって、だって。僕だもん。泣いたらいけないんだ。 泣いたら、いけないんだ。 チャイムと同時に教室には喧騒が戻る。教室の一番窓際最前列に座る僕は、騒々しさと離れるように席に座ったままだ。 目を向けた先には タブレットでゲームで盛り上がる男子たち。くしで前髪を整えている女子。廊下に走って出ていく人や、教室のドア付近でおしゃべりを続ける人。様々な人間がいる中で、僕はいつも一人だった。 窓に映った自分の顔はひどく滑稽で、眼鏡の奥にのぞく瞳は少し震えている。 (泣きたくなんかない。でも、) この気持ちが、簡単な言葉で済まされてしまえばいいのに。 「悲しい」だとか、「寂しい」だとか、そんな簡単な言葉じゃない。でも、何というのかと聞かれても答えられない。そんな漠然とした感情に、ただ今日もいら立つだけだ。 (おかしいな。こんなの、僕の望んでいたものじゃ、なかったんだけどな。) 中学へ上がることを機に、明るくなろう。たくさん友達を作って、一緒に帰って、休日はどこかへ行って。 そんな妄想ばかりが膨らんで、気が付けば5月になっていた。 申し訳程度に入れてもらったグループは、なかなか気が合わなくて、いつの間にか自分からその人たちを避けるようになっていた。 いつものことだよ。そう、いつものことなんだ。 そう、言い聞かせるしかなかった。 「やめてよ!」 悲痛な叫び声に顔を上げる。 黒髪の女子が教室の真ん中で突っ立ていた。その手は震えて、今にも涙が零れ落ちそうな瞳は、宝石のようだった。 彼女を見るクラスメイトの瞳はくすんでいて薄汚い。それは、僕もだ。 「何がぁ~?」 「ウチらなんもしてませんけどぉ~?」 「被害妄想やめてよねぇ~」 『しらじらしい。何を見せられてるんだ、僕は。』 『あまりの不自然さに吐き気がする。いい加減にしろ。』 机の下でグッと握りしめたこぶしに爪が食い込む。 毎回そうだ。いつもいつも見て見ぬふり。 (おかしいな。こんなの、僕が望んでたのじゃ、なかったんだけどな。) 自分が標的になるのが怖くて、なによりも勇気がなくて。 変わるんだろ! 変われないよ。 あきらめんなよ! 綺麗ごとじゃないんだよ。 いいじゃん! どうせ友達なんていないんだから。 そうだよ。どうせ でも、声を上げることはできなかった。 2年たって、もう違うクラスになったけど、今もまだ後悔してる。 なんで助けなかったのかな。意味わかんないや。 いつものことだよ。そう、いつものことなんだ。 (おかしいな。こんなの、僕が望んでたのじゃ、なかったんだけどな。) 僕の頬を一筋流れた雫に、誰かが卑怯だと叫んだ気がした。
みんなの答え
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続きみたい!
なんかとても感動?しました。できれば続き出してほしいです!!
なんか感動する!
こんてとー!てと〆です! <本題> 感動する系なのかは、分からないけど、最初のところから感動しちゃったぁ!面白い・すごい・感動する の3つの感情が出た! また、小説書いてくれるの待ってまーす! <糸冬> ばいてとー!