どうして,
先に言っておこう。 これは叶わぬ恋の話だ。 …初恋をしたのは,6年生の秋だった。 「凛奈ちゃんてていうの? 私ね,芽吹 千帆(めぶき ちほ)! 仲良くしよーね!」 「あ,えっと…よろしくね」 お父さんの転勤で引っ越しをする事になって。 別に,前の学校でも目立たないキャラだったし, ある程度仲良しはいたけど, 大親友!って感じの人もいなかったから 特に心残りもなかったし,寂しさも感じなかった。 「明日見 凛奈(あすみ りんな)です。 東京都から来ました。 よろしくお願いします。」 私が転校してきてすぐのこと。 席は廊下側の列の一番後ろで, 隣の席には,ちょっと髪が長めで,目が綺麗で, 無頓着な服を着た男の子が座っていた。 名前は…青峰 悠(あおみね ゆう)くん。 「明日見さん,これ…落としたよ」 拾ってくれたのは新品の消しゴムだった。 「あ…ありがとう」 受け取る時に少し手が触れて。 その瞬間,胸が高鳴った。 世界の色が変わった。 これが恋だと,すぐに理解できた。 だけど恋なんて初めてで, 友達の作り方すらよくわからない私には 少し,いや…かなり難しかった。 とにかくネットのサイトから 『両思いになれるおまじない』や 『アプローチ方法』を 片っ端から読んでいた。 「『積極的に話しかけにいく』…? 『明るい笑顔を心がける』… 『なるべく相手の側に近寄る』… そんなことできるわけないじゃん…はぁ…」 私にはやっぱり,難しかった。 翌日。 とりあえず,挨拶から始めてみよう。 決意はしたものの…やっぱり勇気が出ない。 どうしよう…迷惑かな…? けど振り向いてもらいたいし…よし… 「青峰く…」 「ゆう!おはよー!」 「あ,千帆おはよう!」 あ…でも次のタイミングで…次の… 「ねぇ聞いてよー… 昨日も弟が教科書に落書きしてきてさぁ…」 「またかよ…笑 やんちゃで可愛いじゃん, 今度また家行って会ってもいい?」 「もちろーん! けど弟ばっかじゃなくて私にも構ってよ?笑」 「わかってる!むしろそっちがメインだし…?」 「ふーん…?笑」 …タイミング…なんて…無い。 視線から。声音から。頬の色から。 すぐにわかってしまった。 青峰くんきっと,この子のこと好きなんだ。 この子きっと,青峰くんのこと好きなんだ。 積極的に話しかけにいく。 明るい笑顔を心がける。 なるべく相手の側に近寄る。 全部私ができなかったことだった。 平然とやってのけて,しかも当然の様に, 一瞬で叶わないって。一瞬で敵わないって。 気付かせられるような。 だけど芽吹さんはきっと… 当たり前なんだろうな,青峰くんに好かれて。 転校初日でそわそわしてる私に, 朝一番に話しかけてくれて。 周りには常に人がいて,誰にでも優しい。 私とは真反対だ。 「あ,凛奈ちゃん!おはよ,そろそろ学校慣れ…」 「話しかけないでください…!」 どうして。 どうして私はこんなにだめなんだろう。 どうしてこんなに酷くて,性格が悪くて,どうして… 「なぁ,芽吹と青峰って付き合ってんのかな?」 「いやぁ,両思いだけどギリ告ってないらしいよ」 「まじかよ!もう結婚してると思ってた!」 「それは言い過ぎだろお前ー笑」 「青峰くんちょっとかっこよくない?」 「えー,顔がいいのは認めるけど, 青峰には千帆ちゃんいるからダメだよぉ」 「確かに…浮気女側にはなりたくないよねー」 どうして。 勝手にこんな… 傷ついちゃってんだろう…? …失恋をしたのは,6年生の秋だった。 何度でも言おう。 これは敵わぬ恋の話だ。
みんなの答え
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転校かぁ…
どもっ恵彩ともうすぅ☆めあと読む! おい悠!平等に接しろ!(おい) じつはいま恵彩の家でも引越しの話が出ててさぁ…やっぱにんげんかんけいってむずいよねぇ いい話でした!じゃなっ