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おはようから始まる恋の物語

「おはよう」 人気者の彼がそう言った。 挨拶してくれた?私に? 私に挨拶をしてくれる人なんていないと思っていた。 私は嬉しい気持ちに包まれたがそれは一瞬にして消えていった。 「なにあいつに話しかけてんの、ゆうと」 「てかあいつもあいつで調子乗り過ぎw」 「挨拶してもらったくらいで調子に乗らないでくれるぅ?」 私の心はぐちゃぐちゃに踏み潰された。 あぁ、何のために生きてるんだろ。 ある日の放課後。 夕暮れ時の公園。いつものように歌を聴く。 お気に入りのボカロ。聴くだけで涙が出てくる。 「さら?」 突然名前を呼ばれ、ビクッと肩を震わせる。 ゆうとくんだ。最悪。放課後くらい一人でいたかった。 しかもよりによってゆうとくん。 クラスメイトに一緒にいるのがバレるとまた色々言われるに違いない。 ゆうとくんはよいしょっと言いながら隣のベンチに腰掛けた。 「放課後、いつもここにいるの?」 無言で頷く。彼は続ける。 「1人って寂しくない?友達、一緒に作らない?」 その言葉を聞いた瞬間、嫌な記憶が蘇る。 親友に裏切られた日々。 ものを奪って笑うものたち。 そうだ。友達なんていつか裏切る。 「…からかわないで」 私の低い声が公園に響く。 「馬鹿にしてるんでしょ。みんなに笑顔を向けて、ひとりの子に声かけて。同情して。…どうせ陰で馬鹿にするんでしょ。恋人なんて、親友なんて!…いらないから」 全部全部吐き出した。 本当はずっと欲しかった。笑いあえる恋人が。時にぶつかり合える親友が。 彼はつぶやく。 「その通りだよね、ほんと。人間なんて自分を守るためにどんなことでもするから。」 「じゃあ…」 「でも!」 彼は私の言葉をさえぎって続ける。 「でもね。いつか本当に守りたくなるような友達が恋人ができるから。できるから…さ」 「今しかできない恋人になりませんかっ!」 彼の笑顔が包まれた。 彼のおはようはまぐれでもない、私を想っての挨拶だった。 次の日、私は彼に笑顔で言った。 「おはよう!」って。

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