短編小説みんなの答え:0

俺の前世。(ちょっと怖いかも)

 「(テレビ)昨夜、〇〇銀行に、強盗が入りました。監視カメラからは、黒い格好をした男性らしきが写っており、△△銀行に入った人物と同じに見えます。そして、警備員の山本啓治さんが遺体で確認されました。警察は捜査を引き続き続ける予定ですが、手がかりがなく…」 「また銀行強盗か。物騒だねぇ。」 「ほんと。まあ、こんな古汚い家には入ってこないと思うけど。」 俺は三井蓮(みついれん)。高校2年生だ。今は朝飯中。 「あ、あべ。ごちそうさまっ!」 急がないと。俺は急いで着替え、家を出た。  「蓮セーフ!」 ギリギリだ。チャイムの「キ」の字で教室に入り、次の「キ」の字で椅子に座り、「ン」の字で荷物を出した。 これが俺の「チャイムの法則」だ。かっこいいだろ。 「蓮、またすごい手さばきだねー。」 隣の陸斗(りくと)が小さい声で話しかけてきた。 「ふんっ、お前の方もだろ。俺だって、遅刻したいわけじゃないんだかーっつ!」 くそ、またか。 俺は近頃、頭が急に痛くなる時がある。 何かが引っ張られるような痛み。引っ張られてはないんだけど。 「蓮、大丈夫?」 陸斗が声をかける。 「ああ、大丈夫だ。それより今日の放課後、みんなでカラオケ行こうぜ。」 「ん、いいね。できる限りの人数を誘っとくよ。」 「マジ、サンキュ!」  放課後。俺たちは常連のカラオケ屋に行った。 「次、蓮の番だよ。何歌う?」 「うーん。俺はパスで。」 「えー!蓮、いつもパスじゃん。」 「眠いんだよ。誰かうまいやつ歌ってくれ。俺はちょっと寝るーっつ!」 また、頭が痛くなってきた。 いつもの、比べものにならないくらい、強い痛み。 ヤバい。どうしよう。 「ちょっと俺、病院行ってくる。」 「え、蓮?じゃあ俺もついていくよ。」 「まあいいけど。」  病院の待合室。まだ痛い。 カラオケ屋で起こった痛みよりは少し弱いけど、ズキズキと痛みがある。  「お前は、わるーい罪を犯した。その痛みは、「怨」怨みじゃ。」 椅子に座っていると、怪しげな婆さんが話しかけてきた。 「え、なに?ねえ陸斗、陸斗?」 「わしも、会話もその坊主には聞こえとらん。」 「は?そんなんできるわけないじゃん。」 「ふっ、できるさ。わしは女神から加護を受けた魔女じゃなからのう。」 「あ、そう。で?罪って何?」 「お前さんがいちばん分かったるじゃろう。昨日は、銀行から金を盗み、警備員を殺した。」 なにそれ。俺が、人を殺した?今朝のニュースの犯人が俺?俺じゃない。 「そうさ。お前じゃない。お前の前世がそうさせているんだ。」 「俺の…前世?」 「そうじゃ。お前は死んで、また生まれ、別人なのに、同じことを繰り返すんじゃ。」 「なんで?なんで俺がそんな目に!」 「思い出させてやろう。」  すると婆さんは杖を取り出して、俺の頭の上で円を書いた。 すると、俺の頭の中に誰かの記憶が落ちてきた。 ずっと昔。渋沢栄一が銀行を作った頃。男は緑色の薬を飲んでいた。 「わぁ!」 急に映像が変わった。薬を飲んでいた男と、違う男が警備員を殺し、銀行のお金を盗んでお盗んでいた。 その次も、ずっと先も、人は変わったのに、同じことをしている。同じ服で、同じ動作をして。 そして、そのあと誰かを殺して、捕まって、死刑で死んだ。16歳の、男だった。 「これは、昨日の出来事じゃよ。」 同じ映像だった。だが、どこかでみたことがある体だった。 「どうじゃ?」 「昨日の、映像が、俺って、ことなの?」 「そうじゃ。」 「いやだ!最後は誰かを殺して、捕まって、死刑だろ!!って、もしかして俺が殺すのは…。」 俺は隣を見た。陸斗がいる。 「さあ。わしは分からん。たとえ魔女でも、未来は見えないし、変えることはできない。」 「じゃあ、どうすればいいんだよ!」 「どうしようも出来ない。だが、女神の加護をやるから、次の人生は生まれた時から今の記憶がある。」 「次の人生で、どうにかしろと?」 「だが、誰も達成できなかった。前前世のお前も試したんじゃがな。」 「やる!俺は、やってみせる!」 「そうか。」 そう言って、婆さんは消えた。すると人が動く。俺の手には、ナイフが。 「ねえ蓮、そのナイフ…何?」 陸斗が訪ねてきた。どうしよう。まてよ、寿命で死んでも良くないか。  すると、俺の体が勝手に動いた。 もしかして…。 「いやだっ!やめろっ!!」 俺は必死に叫んだ。だが体は聞かず、陸斗の前に立ち、ナイフを構えた。 「え、蓮どうしたの?」 「嫌だ。嫌だ!!!!」 「やめて!蓮。やめて!!!!」 「(二人)いやーー!!」  朝。俺は知らない誰か、俺の赤ん坊になっていた。

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