今日も明日も過疎配信
薄暗い部屋に打鍵音が鳴り渡る。 今、青白い光の向こうで気だるそうに喋っているのは過疎配信者の篠原くんだ。 「さやかちゃん今日も来てくれたんだ」 私のコメントを見つけるなり直ぐに反応してくれた。 過疎配信の良いところはこういう風に1対1での対応がほとんどだというところだ。 私は学校での疲れがこれによって癒されていた。 * ━━1年後━━ 彼は同接1,000人前後の中堅配信者となってしまっていた。 「○○ちゃん有償アイテムありがとう。○○ちゃん今日も有償ありがとね」 お金のない私は投げ銭ができない。だから、気づいて貰えない。 1対1が好きな私にはここの人数はしんどいのですぐにブラウザバックしてしまう。 そんなこんなで半年ほど経ち、私は彼の配信に通わなくなっていた。 * 彼からDMが届いたのは通わなくなってから4ヵ月経った夏の昼間だった。 【最近来てなくて心配だよ。大きくなりすぎてごめんね】 ━━━ごめんね? 別に彼は悪くないのに。 久しぶりに彼の配信を覗いた。 彼は物凄い速さで流れるコメントの中から私を見つけ出した。 「さやかちゃん、久しぶり」 その笑顔を見てわかった。 私はやっぱり篠原が好きなんんだ。 * 配信者の転生なんてよくある事で、10月に入った途端に彼は失踪した。 けど私は、私だけは彼の転生先を知っている。 篠原も私も、推しとリスナーの関係をやめ、今はどうしようもない共依存関係になっている。 私は今日も篠原の背中を眺めながらコメントを送る。 -fin- あえて"篠原"と"彼"で呼び方を使い分けしました。 主人公、さやかは配信者としての篠原ではなく、人として…否 異性としての篠原が好きだったのでしょう。配信に来ないさやかを心配してdmを送っちゃう篠原も可愛いですね。実は、本編には無いですが、dmは繋がり用の鍵垢でやり取りしていたようで...