あなたをずっと覚えてる
誰かはねられたぞ!救急車を呼べ! そんな声がかすかに聞こえた。 交差点を渡ったあと、信号無視の車にはねられ、意識不明の重体となった俺。 目が覚めると病院にいた。 それだけしかわからない。名前も、年齢も。 そこに一人の女性が駆け込んで来た。 ー大丈夫?私、覚えてる?ー その声にピンときて振り返り、目を合わせると、その女性は目に涙を浮かべた。 ー良かった…本当に…良かった。ー 涙が何滴も落ち、女性の顔が真っ赤になった頃。 なぜか俺も涙が溢れてきた。 なぜだ。誰だかわからない。 なのに、どうして。どうして。 もう記憶は戻らない。 けれど、君のことは忘れない。