この世の私と透明な君(ホラー&同性愛)
いつもの帰り道。 クラブ活動のせいで、下校が遅くなり、五時過ぎの夕焼けが見える。 私、田浦 美海(とうらみみ)は、毎日通る急だけど川の見える坂を下る。 隣には、親友、透過 美愛(とうかみあ)がいる。 「それでね、その子がさー……」 彼女は、延々と自分の幼馴染を、話している。 ちなみに、この話を聞くのは3回目。 それを私は、黙っておく。 この子の話が聞けるだけで、十分だからだ。 私は、この子が好きだ。 同性愛だ。 すごく可愛い子で、声も澄んでいて、本当に名前にピッタリな子―― 私にとって、天使のような人だった。 彼女は恋愛の話もするし、今みたいに、幼馴染の話をいつもするので、ので、私はきっとずっと片思いだ。 まあしょうがない、好きなだけで私は幸せだし、今一緒に仲良くしているんだから…… 「ねーえ、聞いてた? 私の話!」 突然、頬を膨らませて聞かれた。 不意打ちのようにそう言われた私は、逃げるように美愛から目を逸らしてしまう。 顔がほてっている。見られないように、そっぽを向きながら、消え入りそうな声で言う。 「ご、めん……」 「もー、ちゃんと聞いててね!」 呆れたようにため息をつかれてしまう。ごめんね、と心の中で独り言を言う。 すると、いきなり深刻な口調で言った。 「じゃあ、ここからは大事なことを話す。」 「うん」 さっきの楽しい雰囲気が嘘のように、沈黙が流れる。 「私、今日で消えちゃうの」 「………え?」 ちゃんと聞いていたつもりだった。 でも、本当に、何を言われたのか、理解ができなかった。 美愛は話を続ける。 「明日から会えないけど、なんか、言いたいこととかない?」 そう言われても、まだ、理解が、追いつかなかった。 「何で……消えるってどういうこと?」 そう言うと、美愛は長く息をふーっと吐き、私に触れ――すり抜けた。 「幽霊なの。 ……今まで、だまっててごめん。」 え、え、え、と声に出す。 「幽霊って、あの?死んじゃった人の魂?」 いってから気づく。 いやいや、そんなわけがない。何かの悪戯なんだ、って。 すると美愛は、悲しそうに目を細めた。 「ごめんね。言ってなくて。」 すると彼女は、全てを語った。 自分は去年、心臓発作で去年に亡くなったと言うこと。その命日が、明日の日付だったこと。 それを聞いて私は、理解してしまった。 全部、本当なんだ。だから教えてくれたんだ。 私は、どこからか、涙が溢れた。 人の死は変えられない。この瞬間でさえ、奇跡のようなことなのに。 美愛の指が、涙を拭おうとして、すり抜ける。 「泣かないで。」 悲しそうな声だった。 ごめん。私が一年前に君に出会って、命をかけてでも、君を守っていたら。 全部、私のせいだ。 「ごめんね、ごめんね」 私は彼女の霊体にどうにかして触れようと、抱きしめようとしてすり抜ける。 どうして私は今まで体に触れようとしなかったのか。 その上、思い返せば学校での記憶もない。なぜ、思い出さなかったのか。 あんなに好きだったのに。 ……好きだったのに。 とめどなく泣いてしまう。 彼女の体が、薄くなっているのに気づく。 もうすぐに、日没だ。言わなきゃ、ならないんだ。この時間が、終わってしまう。 「早く。何か、言いたいことがある?」 急かす声にも、僅かにふるえが含まれていた。 あるよ。夜が明けてるまで会っても言い足りないほど、言いたいことはたくさんある。 でも、心を込めて、いまこの間に、気持ちを伝えなければ。 唾を飲み込んで、言葉を紡ぐ。 「好きだった。今も、昔も、この先も。ずっと美愛を覚えてるよ。ずっと、思い続けるよ。だから、」 この先も、一緒にいてよ。 君に触れたいから。 消えないでいて。 言い終わると、もう、見えなくなりそうなくらい、体が薄くなっていた。 彼女の顔に、夕暮れの光を受けて輝いたた粒が伝い、宝石のように雫となって滴った。 「ありがとう」 そう聞こえた気がした。 ふと前を見ると、そこには、人の影一つ、残されていなかった。 アスファルトにはまだ、煌めく雫だけが、染みずに光り続けていた。 久しぶりに書いた話。 初めての感動物にしたけど、どこかの誰かの心を動かせたら良いなと思います。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
いいお話…
こんことか* 元千桜の湖都花です(・・;) -------------------- 感動した…(T-T) 表現も素敵! こともたまに、短編小説書くんだけど、 こんなにいい話は書けません! これから、師匠って呼ばせてください!(笑) -------------------- #js6 #一人称…こと #語彙力なさすぎ ばいことか*
目がうるんだ
キュアフレンディです! 感動です! めっちゃかんどうです! いいはなしすぎる!