短編小説みんなの答え:0

もう一人の私に会う日

この世界には、 “もう一人の私に会う日”がある。 それは3月2日。 オルターエゴデーと呼ばれている。 私はこの日が嫌いだ。 実際にはもう一人の私に会えないからだ。 昔の神話に基づいているらしいが、そんなの今の私には関係ないし。 今年も3月2日──オルターエゴデーはやってくる。 明日はオルターエゴデーだ。 明日が違う日に変わればいいのにと、 そう思いながら眠りについた。 「瑠愛!おはよー!」 「おはよう」 私は栗原瑠愛。 オルターエゴデーが嫌いな中学2年生だ。 14年間生きてきて、13回オルターエゴデーを経験している。 でも一度ももう一人の私に会う日は無かった。 然し噂では、14歳の年にもう一人の私に会う事ができるらしい。 噂だけどね。 「ここがこうなるので、答えは2になり…」 大嫌いな数学の授業の最中だった。 「…?」 虹色の煙のようなモヤが動くのを確かに私の目は捉えた。 次の瞬間、ソレがこっちを向く。 「私…!?」 思わず授業中なのに立ち上がった。 モヤは階段を駆け上がり、屋上に向かう。 ねぇ、どこへ行くの ガタ、と屋上の扉をを開く。 そこにいたのは授業中に見たモヤと同じだった。 「あなた、だれ…?」 「ああ、私は栗原瑠愛。もう一人の栗原瑠愛」 もう一人の自分 ってこと? これが オルターエゴデー… 「私、アナタに約束しようと思って来たの」 「約束…?」 「ええ、そうよ。この手紙をあげる。開けてみて」 手紙の封筒を開け中から手紙を取り出す。 【14歳の栗原瑠愛へ 28歳の栗原瑠愛より】 そう書かれた一行目に目を通す。 そこに書かれていたのは今までの28年間に何があったかということや、 15歳以降の私に何が起こるかだった。 そしてもう一つ… 「【アナタが42歳になったとき、私に手紙を出してほしいのです。そうすると、私は28歳から56歳になることができます】…?」 成程。 14の倍数で年齢が移り変わるのか… 【そうすれば私からまた返事をさせていただきます。その次に、84歳になったときにまた、私に手紙を出してください】 もう一人の私に会う日 そういうことだったんだ… 【宛先はワンダーランド スイセン1-1 マンションキラウェア208号室】 14年後にまた手紙を書こう。 そうすれば、もう一人の自分に会えるから… 「ママー?奈々との約束に遅れちゃうじゃんっ!」 「まだ!えーっと…56歳の私ってどんなふうになってるんだろう…」 42歳になった私は56歳の私に手紙を出すことにした。 「ワンダーランド スイセン1-1 マンションキラウェア208号室っと!」 よし! 「優愛!ちょっと待って…よし!行こっか!」 「おそーい!よし!いってきまーす!」 あの日みたいに もう一人の自分に会えるように…

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