大きな壁
俺は大きな庭付きの豪邸に生まれた。 オルガル・メイデン…メイデン家の長男“だった”。 まだ小さかったときに庭だと思っていたものが、いつしか都市と呼べるほどになっていた。 まるでメイデン家を中心とするように領地は拡大し、塀で囲れていたはずのものが、とても大きな壁になっていた。 家、町、都市、国とあまりにも領地を増やすので俺は父に聞いた。 「世界を平和にするためだよ。」 あぁ、そうか。 俺の父は全ての土地を領地にしてある意味「平和」にしようとしたのかなって。 当時14だった俺は、学校の友達や近所の人と会いたくなかった。 「あの壁を作ったメイデン家の息子」と良い意味でも悪い意味でも思われる。 壁はどんどん囲う範囲を広げていった。 メイデン家に反するものは絶対にいたと思う。全員が全員認めるものか。 反逆者は〇して、いなかったことにする。国として美しいものにする。 いつしか俺は父に強い不満をもっていた、いやずっと前から。 父とあれに味方する奴はもう悪の組織だ。 「そうね」 エナ。 君が居なかったらこの壁は壊せてなかった。 プログラムは成功し、壁は消え去った。 ただのご近所さんがここまで協力してくれるなんて思っていなかった。 多分俺だけじゃ壁は壊せないから。 俺は相棒と言える斧を手に混沌の世界を駆ける。 そして、本当に壊した。 〇して、〇して…それでも無駄だと思ったから。 時を止めて、もう世界と言えなくしました。 その時、彼女、エナの手を繋いだのが悪かったんですか。 彼女の記憶は戻らない。